文庫
スマホが使えないので、書棚から文庫本を引っ張り出してきて読んでいます。さまざまな料理、特に肉の描写が食欲を掻き立てる、そんなエッセイです。 幼い頃は、本ばかり読んでいたのですが、インターネットができてから、だんだんと読書量が減りました。だか…
類例が数少ない選挙小説の佳作。短編集。選挙ほど人間の欲望がむき出しになる機会はなく、人を描きたい小説家には面白い題材の一つであると思うのだが、取り上げられることはなぜかあまりない。 厳密には小説というよりドキュメントだが、自民党大阪府連の選…
江戸の職人の世界を丁寧に描いていてぐいぐい引き付けられる。握りずしではなく箱寿司ということろにも引かれる。ただ、後半、話を進めることを急ぎすぎた感があって、一人ひとりのキャラクターを活かしきれていないのが残念。特に勘定方の武士の存在が希薄…
白い飯に生卵ををかけて食べ、朝風呂につかって身体を温めてから峠を自分の足で駆け抜けたくなった。登場する男も女も格好がよすぎる。かんじき飛脚 (新潮文庫)作者: 山本一力出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/09/30メディア: 文庫 クリック: 7回この商…
安土城を作った織田信長お抱えの職人の物語。目の前に城の石垣や天守閣が迫ってくるような迫力。思わず物語りに引き込まれて一気に読了してしまった。職人の生き様は、十分、歴史小説やハードボイルドの題材になりうる。最近、職人を主人公に据えた小説が多…
数100本を越える論文と雑誌のタイトルに目を通し、7000字を超える文章を一夜で一気に書き上げた疲れが、今頃になって少し回ってきたせいか、センチメンタルな気分に浸りたくなり、本書をあらためて読み返しました。 やっぱりいいなあ。くりかえす刹那、永遠…
議員秘書や政治評論家、元議員などの政界関係者が打ち明けても問題のない話をピックアップしてまとめ出版する定期刊行本の中の一冊(この類の本でもっともヒットしたのは、小泉首相秘書官を務めた飯島薫の「(2001)『代議士秘書―永田町、笑っちゃうけどホン…
昔、職場の上司に薦められて本書を購入した。たまたま、今日、掃除をしていたところ書類の山の間から、薄い文庫が出てきたなと思ったら本書だった。司馬さんの作品は、10代のころに戦国時代を舞台にした作品を中心に小説は半ば程度は読破したが、街道を行く…
雑誌で池上さんのインタヴューを読んだらものすごく面白すぎて大笑いして腹筋が切れそうになったんで、これは小説を読んでみんんといかんなということで手に取りました。 で、読み終えたのですが、こりゃあ何と評したらいいのかわからん。SFというにはちょ…
誰しも若い日々はある。外務省のラスプーチンとまで言われた佐藤優にももちろんそんな時があった。友情、新しい知識や経験を得る喜び、そして苦い別れとあらかじめ用意されたかのようでもある挫折、再会ともいえないほど切ない友との一瞬の交錯。彼の考え方…
ネットゲームの世界を舞台にした小説ですが、私には、アーケードゲームに夢中になった世代が書いた小説、そんな雰囲気が強いです。バーチャルな世界の行為を通じてヒーローになる。そうした行為でしか、特別になれないということにコンプレックスを覚える主…
昭和の偉人の血族が、偉人にまつわるさまざまな思い出を語る。政官財の要人から、文化、芸能の著名人まで取り上げられた偉人は、60人。 大衆は何も社会のことなど考えていないと嘯く息子に、西尾末広が「大衆はそんなに愚かではないよ」言った話は、まったく…
北方さんの作品は、精神が殺伐としてくるとつい手にとってしまいます。不思議と精神安定剤になるといいますか。 現代が舞台であれ、時代物であれ根底に流れる北方テイストは変わらないのですが、時代物における剣戟の書き方は独特のもので関心を惹かれます。…
芸達者な作家さんでうまくまとまっているのだけど、登場人物の書き込みが甘く感じて、物語に感情移入ができませんでした。 井伊直弼の若かりし日の屈辱の経験が、権力を得たとき、昔手に入れることができなかった女性の娘を無理やり手に入れるという妄執を生…
2003年に読売新聞の連載記事をまとめて出版された豊田市トヨタ町一番地が文庫化されたもの。 トヨタの伝説を作ったサラリーマンなら誰もが知る著名な経営陣から、現場を支えた無名の人物まで取材しておりトヨタを知る上での入門書の一つとしてお薦めです。 …
文脈のある本棚づくりとか、仕事の参考になるアイデアをたくさん学ばせていただきました。こういう本屋が近所にあったらいいんですが、なかなかないですよね。本書では、bk1に移るところまでが描かれていますが、筆者は今は、楽天ブックスの店長を勤めて…
手に取ったときは、それほど多くを期待していなかったのに読み終えたときには、多くのものを残してくれた小説です。もう少し早くに手にとって読むことができていたならと後悔しました。まだ、心を震わす小説がある。これだから読書はやめられないとあらため…
最近、藤沢周平熱にうかされていまして、仕事に追われる中で、朝の5時から読み始め7時過ぎに読み終えました。何もそんな時間に読まなくてもよかったのですが、たまたま早くに目が覚めたので読み始めたらぐいぐいと作品世界に引き込まれとまらなくなって読ん…
精神が殺伐としてきたのか、本屋に行って手に取る本はアウトサイダーものばかりという日々です。 殺伐とした暗黒社会を描きながら、なぜか淡々とした印象を受ける作品です。この分野の類書に比べて傑作であるとまではいえませんが、記憶に残る内容でした。い…
アメリカ南部の田舎町を舞台に少女のレイプ事件を追う弁護士の姿を描く。MWA賞を2度受賞した巨匠の作品ということで期待して読んだのですが、私には合いませんでした。一つ、一つのエピソードは面白いのですが、視点が絞りきれていないバラバラした印象を…
禁酒法時代のアメリカ。銀行強盗、マグナム、ジャンクな食い物、酒。そういったフレーズにピンと来る人にはお奨めです。書棚の間を2時間ほど行ったり来たりして悩んだ末に装丁買いしましたが当たりでした。 冒頭の銀行強盗のシーンから、回想を経てクライマ…
架空の東欧国家を舞台にした刑事物語。珍しく装丁が気に入って衝動買いしました。 舞台が冷戦期の東欧のため、捜査にはあらかじめさまざま制約があり、それが作品になんともいえない重みを与えています。ただ、徴兵忌避者として同僚刑事たちから阻害を受けて…
それほど好きな作家というわけではないのに時々、文庫が発売されると手にとってしまいます。彼の小説の中では、傑作とよべるものはないと思いますが、浅田次郎らしくスラップスティックでありながらホロリとさせる作品です。 講談調、劇画的、ストレートにい…
宮台真司について都会モンの優越感に腹が立つ。福田和也について、典型的なブルジョワージーの匂いがして、田舎物でプロレタリアートの自分は階級的についていけないと書く。 単なる批評家ガイドとして読むのも良いし、筆者が考える批評のスタイルについて学…
仕事に使っているバックの底に押し込んであった本。年明けに、読む本がなかっため引っ張り出してきて読みました。長いこと入れっぱなしだったので本が曲がってしまったのが残念。 第2次大戦前の東欧を舞台にしたスパイ小説。と書くとなんとなく安っぽいのだ…
古典的な冒険小説の書き手として欧米では、キャリアのある著名な作家らしいが、日本ではそれほど作品は紹介されていない。作風は、総じて男くさい。でも、こういう話は、好きなんですよねなんだかんだいっても。たまには、マッチョな話が読みたくなるとこの…
報知新聞に連載された大久保についての聞き書きをまとめたもの。兄弟、子弟、同僚、後輩、多岐に渡る人々に取材し、その証言によって大久保の維新から明治政府、渡欧期、晩年に至るまでを回想する。 近年でも著名な政治家について追悼録が編まれることは時折…
レンズマンの原典は、小学生の頃に読んだ記憶があるのですが、もうほとんど忘れていたので細かい設定や世界観にはあまり拘らずに読みました。その部分の書き込みもなかなか凄いんですけどね。 スペースオペラ、不屈の闘志、勇気、憎しみに値する敵、そんな単…