嘆きの橋 2006年01月25日 00:43

 架空の東欧国家を舞台にした刑事物語。珍しく装丁が気に入って衝動買いしました。


 舞台が冷戦期の東欧のため、捜査にはあらかじめさまざま制約があり、それが作品になんともいえない重みを与えています。ただ、徴兵忌避者として同僚刑事たちから阻害を受けていた主人公が、作品の前半の早い段階で周囲から受け入れられたことを少々あっけなく感じてしまい、最後までその点を引きずって読んでしまったため、評価が下がりました。


 ナチス統治下のフランスを舞台に刑事が活躍するという小説はあったと記憶していますが、社会主義圏の刑事という設定は聞いたことがないので今後の展開に期待したいと思います(どうやらシリーズもののようです)。重苦しい気分になりたい方にお奨めです。

嘆きの橋 (文春文庫)

嘆きの橋 (文春文庫)