小説

選挙参謀 (光文社文庫)

類例が数少ない選挙小説の佳作。短編集。選挙ほど人間の欲望がむき出しになる機会はなく、人を描きたい小説家には面白い題材の一つであると思うのだが、取り上げられることはなぜかあまりない。 厳密には小説というよりドキュメントだが、自民党大阪府連の選…

獅子の門 人狼編 (カッパ・ノベルス)

惰性で買って読んでしまう。もう、新しい表現はないということを知りながらも水戸黄門を楽しむような気持ちで読めるのでまあいいかと思うことにする。キャラクターを多くしすぎて全体の印象が薄くなってしまっている。おそらく、その時々の作者の関心で新し…

この押井作品を知らなかったのは不覚でした

読まねば。 ケルベロス 鋼鉄の猟犬作者: 押井守出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2010/02/25メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (9件) を見る ブログ王でアクセスアップ!! BS blog Ranking

一気に読みきることの快感

一気に読みきれる本を読むことの快感を何に例えたらいいだろう。衝動買いしてしまった。面白すぎる。孤独のグルメ 【新装版】作者: 久住昌之,谷口ジロー出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2008/04/22メディア: コミック購入: 59人 クリック: 1,251回この商品を…

罪深き海辺

地方の寂れた都市に突然現れた旧家の血を引く男。静かな街に波が起こる。というオーソドックスな筋立て。途中まではぐっと引き込まれたのだけど主人公の動機がよくわからんのと、彼の正体が明かされた際にそんなに簡単にだまされた形になる人々は、受け入れ…

闇狩り師黄石公の犬 (TOKUMA NOVELS)

80年代には確立した物語のエッセンスを組み替え組み返して使っているだけなので、新鮮な喜びはないのだけど新刊はなんとなく手にとってしまう。10代の頃に読んでいたものの影響って個人の嗜好を決定するうえで大きいのだなと今更ながらに気付く。本書は、古…

影絵の騎士 (トクマ・ノベルズ)

BDT2。前作では荒々しかった主人公が、愛する人を失って心に影を背負いながら街に戻ってくる。悪くはないのだけど乗り切れなかった。色々な要素を盛り込んだせいで場面が飛びすぎるからか。ヒロインに感情移入できなかったからか。影絵の騎士 (トクマ・…

ジョーカー・ゲーム

評判を呼んだ日本陸軍スパイ連作もの。キャラクターが立っており、テンポよく読める。エンターティメント性が高く漫画にもなった。このジャンルの小説はありそうで日本にはそれほど数がない。海外には一大山脈を築くほど多いのだが。個人的には、佐藤大輔の…

重松清の連載が面白い「星をつくった男 阿久悠と、その時代」

週刊現代で小説家重松清が連載している「星をつくった男 阿久悠と、その時代」というノンフィクションが面白い。重松清はとても上手い作家だとよく聞くのだけど週刊誌でコラムを読む程度で恥ずかしながら小説は未だに読んだことがない。そんなわけで特にファ…

ウルトラ・ダラー (新潮文庫 て 1-5)

新種の偽札に絡む国際的な情報・外交戦を描いた小説。面白いといえば面白いのだけど。生活感が自分の実感とずれるためか、あるいは会話の都会的なテンポに肌が合わない所為か、物語に入り込んでいくことがうまくできなかった。ウルトラ・ダラー (新潮文庫)作…

点と線が目を引いた

電車の中で松本清張の点と線の文庫本を読んでいる女性が、私のはす向いに座っていました。年齢は私と同年輩ぐらいだったと思います。最近の女性の年齢は私にとってはわかりにくいのでもしかしたらもっとお若い方だったかもしれません。それはさておき、松本…

愚か者の盟約

政治小説の知られざる佳作。執筆時点からみて数年後の近未来を想定して描いたシュミレーション小説の側面もある。現実の政界再編はこのようにはならなかった。その大きな原因は、想像以上に社会党が政治力がない集団になってしまっていたからだがと考えられ…

幻の特装本

古書を主軸にミステリーが書けるということを証明した先駆的な書。大部の小説だが、一気に夢中になって読むという幸せな時間を持つことができる一冊。幻の特装本 (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ジョンダニング,John Dunning,宮脇孝雄出版社/メーカー: 早川…

グラスホッパー

乾いているなあ。装丁(なかなかカッコいいです)買いに近いノリで買ったのですが、私好みの乾ききった内容でした。砂漠のような人、都会を感じたい方にはお奨めの一冊です。グラスホッパー (角川文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 角川書店(角川グルー…

極限捜査 (文春文庫)

旧共産圏、東欧警察シリーズ第2弾。第一作の『嘆きの橋』は、ぴったり来たのだが、本作にはもう一つ乗り切れなかった。相変わらず鬱々としたテイストはかわらないのだが。全5部作だそうなので、今後のシリーズに期待します。極限捜査 (文春文庫)作者: オレン…

Kの日々 (FUTABA・NOVELS) 2009年04月06日 21:09

読んでいるうちにこれは、以前ハードカバーで読んだ作品だと気付いた。こんな記憶違いは滅多にしないのに。 だからといってこの小説がつまらないというわけではもちろんない。テンポのよい会話を中心に物語は進んでいく。私が考える大沢在昌らしい小説だった…

剣嵐の大地 (1) 2006年12月07日 23:57

本書の解説でも触れられていたことですが、登場人物すべてがマイノリティ的な属性を持つという稀有な小説です。作者がSF作家のため本書も書店の取り扱いとしてSFになるのですが、SFというよりは、大河戦記小説の傑作として語り継がれいくことは間違い…

スラムオンライン 2006年12月07日 23:47

ネットゲームの世界を舞台にした小説ですが、私には、アーケードゲームに夢中になった世代が書いた小説、そんな雰囲気が強いです。バーチャルな世界の行為を通じてヒーローになる。そうした行為でしか、特別になれないということにコンプレックスを覚える主…

日の名残り 2006年06月30日 00:51

人生のすべてをすべてを懸けるに値する仕事をなしたと思っていた。プロとして恥じない実力を培ってきた。誇りも感じていた。しかし、実は自分が自分に好意をよせてくれる女性の気持ちを慮ることすらできない、そんなどうしようもない人間だったと人生の道行…

図書館戦争 2006年06月11日 21:57

戦争を題材にしていなければ、そのまま月9ドラマにできそうな軽快なストーリー展開。図書館は正義の味方なのか!?戦え図書館司書!!狩られる本を守るのだ。愛のために突き進むのだ!!こんな感じのエンターテイメントですね。 後半の少年たちとのエピソー…

わたしたちが孤児だったころ 2006年05月30日 00:40

第2次大戦前のイギリスと上海を舞台にして、両親の失踪の謎を追う男の姿を描く。特に少年時代の主人公から見た父母や周囲の大人たちに対する目線の描写が丁寧で秀逸に感じました。 中盤以降、展開を急いだのか少々荒っぽい展開になったのが残念。わたしたち…

椿山課長の七日間 2006年01月23日 21:56

それほど好きな作家というわけではないのに時々、文庫が発売されると手にとってしまいます。彼の小説の中では、傑作とよべるものはないと思いますが、浅田次郎らしくスラップスティックでありながらホロリとさせる作品です。 講談調、劇画的、ストレートにい…