時代小説

損料屋喜八郎始末控え

主人公の押さえた人物造形が好ましい。なんでもかんでも説明し自己主張する物語というのはいかがなものかと常日頃考えているものとしては、楽しめる内容だった。損料屋喜八郎始末控え (文春文庫)作者: 山本一力出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/06/01…

深川黄表紙掛取り帖

もう一歩。登場人物の掘り下げ方が中途半端に感じられて物語にのめり込めなかった。紀伊国屋文左衛門や柳沢吉保の登場させ方ももったいなく感じた。揉め事を治めるアイデアはなかなか面白いのだけど。深川黄表紙掛取り帖 (講談社文庫)作者: 山本一力出版社/…

銀しゃり[文庫] (小学館文庫 や 11-1)

江戸の職人の世界を丁寧に描いていてぐいぐい引き付けられる。握りずしではなく箱寿司ということろにも引かれる。ただ、後半、話を進めることを急ぎすぎた感があって、一人ひとりのキャラクターを活かしきれていないのが残念。特に勘定方の武士の存在が希薄…

かんじき飛脚 (新潮文庫 や 54-3)

白い飯に生卵ををかけて食べ、朝風呂につかって身体を温めてから峠を自分の足で駆け抜けたくなった。登場する男も女も格好がよすぎる。かんじき飛脚 (新潮文庫)作者: 山本一力出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/09/30メディア: 文庫 クリック: 7回この商…

火天の城

安土城を作った織田信長お抱えの職人の物語。目の前に城の石垣や天守閣が迫ってくるような迫力。思わず物語りに引き込まれて一気に読了してしまった。職人の生き様は、十分、歴史小説やハードボイルドの題材になりうる。最近、職人を主人公に据えた小説が多…

鬼哭の剣―日向景一郎シリーズ〈4〉 2006年05月05日 23:15

北方さんの作品は、精神が殺伐としてくるとつい手にとってしまいます。不思議と精神安定剤になるといいますか。 現代が舞台であれ、時代物であれ根底に流れる北方テイストは変わらないのですが、時代物における剣戟の書き方は独特のもので関心を惹かれます。…

安政五年の大脱走 2006年05月05日 22:45

芸達者な作家さんでうまくまとまっているのだけど、登場人物の書き込みが甘く感じて、物語に感情移入ができませんでした。 井伊直弼の若かりし日の屈辱の経験が、権力を得たとき、昔手に入れることができなかった女性の娘を無理やり手に入れるという妄執を生…

蝉しぐれ 2006年03月21日 00:20

手に取ったときは、それほど多くを期待していなかったのに読み終えたときには、多くのものを残してくれた小説です。もう少し早くに手にとって読むことができていたならと後悔しました。まだ、心を震わす小説がある。これだから読書はやめられないとあらため…

秘太刀馬の骨 2006年03月20日 23:49

最近、藤沢周平熱にうかされていまして、仕事に追われる中で、朝の5時から読み始め7時過ぎに読み終えました。何もそんな時間に読まなくてもよかったのですが、たまたま早くに目が覚めたので読み始めたらぐいぐいと作品世界に引き込まれとまらなくなって読ん…

密謀 (上巻) 2006年02月23日 00:26

関ヶ原に至るまでの上杉家の歩みを上杉家の隠密の活躍を交えながら描いた作品。久しぶりに藤沢さんの作品を読みたくて、新品で購入してきました。しかし、残念ながら消化不良で終わりました。藤沢さんの作品としては珍しく、関ヶ原という大きな歴史を描いて…