ネットゲームの世界を舞台にした小説ですが、私には、アーケードゲームに夢中になった世代が書いた小説、そんな雰囲気が強いです。バーチャルな世界の行為を通じてヒーローになる。そうした行為でしか、特別になれないということにコンプレックスを覚える主人公の感覚。そういった感覚を感じることは、今の20代から30代のオタク世代には珍しくないんじゃないんでしょうか。
主人公は、物語の最後で自らの前にある青い猫≒青い鳥に気づきます。そこに至る過程を丹念に描いているという意味で、ネット世代のビルディングロマンスとしても読めるのではないかと思いました。
- 作者: 桜坂洋,toi8
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/06/09
- メディア: 文庫
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