2003年に読売新聞の連載記事をまとめて出版された豊田市トヨタ町一番地が文庫化されたもの。
トヨタの伝説を作ったサラリーマンなら誰もが知る著名な経営陣から、現場を支えた無名の人物まで取材しておりトヨタを知る上での入門書の一つとしてお薦めです。
改善やカンバン方式(トヨタ生産方式)といったトヨタの経営を考えるうえで重要な要素はもちろん、人材養成の仕組み、労組の活動、ボランティア活動にいたるまで網羅的に取り上げられているためトヨタの全体像を考える手引き、きっかけになりました。
本編もさることながら巻末の佐野眞一による書評も興味深かかったです。流通界の寵児といわれながら太閤秀吉のごとく一代の夢に終わった中内功のダイエーとトヨタの違いは何だったのか。
輝かしい成功を手にしながら破滅した中内ダイエーに取材の対象としては、トヨタよりも強く惹かれるという佐野の感性には、なぜか私も共感する部分がありました。トヨタとダイエーを取り上げて戦後日本の経済史を描くそんな本も読んでみたいと感じました。
- 作者: 読売新聞特別取材班
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 文庫
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