55年体制の成立から50年を経て、政治家のみならず日本の戦後政治を支えた裏方たちの証言が徐々に出てきた。
例えば、最も新しいところでは、丸山勝彦自民党元審議役の(2009)「党職員生活40年「大ベテラン幹部」が実名で問う!自民党の「堕落」」『週刊文春』(2009年6月4日号)文藝春秋での自民党の歩みについての証言は生々しかった。同じく週刊文春は、自民党選対部長を務めた金尚氏の証言を掲載したこともある。また、自民党幹事長室長を長く務めた奥島貞雄氏の一連の著作も自民党の運営について党職員の立場から証言しており興味深かった。55年体制のもう一方の雄、社会党の側でも船橋成幸元企画調査局長の「証言戦後半世紀の政治過程―混迷のいま、21世紀へのメッセージ 」明石書店などが出版され一定の証言が揃ってきている。戦後政治史を肉付けする上で今後もこういった記録が多く残されることを期待している。
さて、本書は、自民党政治を語る上で欠かすことのできない要素である派閥について、池田勇人以来の名門派閥宏池会の事務局長を長期にわたって務めた人物が、池田から堀内までの宏池会の歩みをまとめたものであり、貴重な証言が詰まっている。派閥政治を理解する上で必読のテキスト。
- 作者: 木村貢
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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