証言 本音の政治 [戦後政治の舞台裏]

 労働大臣、防衛庁長官を務めた栗原祐幸氏が、自らの政治家としての歩みや実績をまとめた回顧録的な著書。栗原氏は、自らの来歴を記録することに熱心なようで他にも数冊、著作を著している。単に自慢話に終わらず、その時々の政治的決断の理由や背景にまで踏み込んで証言しており興味深い内容となっている。栗原氏についての評価は別として自らの言葉で政治家として為した事を記録にとどめようという姿勢には敬意がもてる。


 ただし、栗原氏は90歳近く、現役で活躍したのは60年代から90年代初頭のため、読みこなすためには、一定過去の日本政治史の知識がないと難しい。河野謙三参院議長擁立劇や次期支援戦闘機(FSX)の開発、防衛費1%枠撤廃など日本の政治史の重要な一幕だが、私にはもう随分昔のことのように感じられた。

証言 本音の政治 [戦後政治の舞台裏]

証言 本音の政治 [戦後政治の舞台裏]