小考「国会議員の世襲問題について、世襲(2世)議員の現況について考える」

※注 おもいっきり私の特殊な趣味に走った内容になっています。書いているうちにどんどん長くなり長文にもなってしまいました。ご関心のない方は、さらっと読み飛ばしていただいても結構です。でも、書き上げた興奮もあってなかなか面白い内容になったと自画自賛しております(笑)資料等の一覧については前々から準備していたものを整理して掲載しました。他にも世襲問題について面白い資料をご存知の方は、ぜひ、お知らせください。


 やられた。昨日本当にそう思いました。まさか週刊ポストに先にやられるなんて。思ってもみなかった。せっかくコツコツ調べていたのに。といいますのは、昨今メディア等で大きく取り上げられている世襲議員問題、この問題についてblogで取り上げようとかねてから準備を進めていました。数少ない関連資料を取り寄せて読み込みつつ、広い意味で世襲を捉えて選挙区ごとの状況がわかる図表を作成しようと試みていました。しかし、朝電車の中で、今週発売の週刊ポスト2009年5月8日/15日号の吊革広告を見てびっくり「衆院選300選挙区「議員184人世襲リスト」のあ然!」との文字が躍っているではないですか。なんてことだと思いました。


 実は、すでに国会議員の世襲についてのデータは、「2世3世議員データバンクtop」<http://www.notnet.jp/data01index.htm>(2009/3/11アクセス)や「ザ・選挙 -国会議員白書-」<http://www.senkyo.janjan.jp/diet/dietinfo/relation/relation.php>(2009/3/11アクセス)などで簡単に見ることができます。ただ、これらのデータは選挙区ごとのデータになっておらず、また、国会議員が親族に地盤をゆずった場合を世襲と基本的には捉えてデータを作成しており、私は、地方議員や首長、場合によっては有力な企業人・業界団体の長などを親族に持つ場合まで範囲を広げて国会議員の世襲状況を調べようとしていました。動機は純粋な好奇心からで、一般にいわれているよりも世襲とよべるケースは多いのではないかと以前から考えていたからです。そこで実態を知りたいと思い個人的に調べていたのですが・・・


 話を週刊ポストに戻します。吊革広告を見た私は、昨日、帰り道に駅の本屋で生まれてはじめて週刊ポストを購入しました。といいますか、実はこの週刊誌読んだことがなかったです。基本的に私は週刊誌を購入しません(サンデーとマガジンは毎週購入していますが)。例外的に選挙予測が掲載されているときだけは購入しますが、週刊ポストには選挙予測が掲載されないのでサンデー毎日週刊現代週刊文春週刊朝日、AERAは買ったことがあっても週刊ポストは買ったことがありませんでした。ひょっとしたら今回のような企画記事が掲載されているぐらいですから選挙予測も掲載されていたのかもしれませんが見落としていたのかもしれません。そういえば、以前、写真週刊誌FLASHも選挙予測を掲載したことがありました。このネタをやると比較的週刊誌は売れるといううわさを聞いたことがあります。週刊誌冬の時代ですから、選挙予測企画に新規参入してくる雑誌も意外な所からでてくるかもしれませんね。女性ファッション誌なんかに載ったらどういう切り口になるのか、評論家は誰を起用するのか、想像するとちょっと面白いですが。


 さて、肝心の週刊ポストの記事の内容ですが、なかなか面白いものでした。まず、記事ではなぜ国会議員の世襲がおこなわれるのかを世襲のうまみとして3つに整理して紹介しています。以下に概要を私のコメントを入れながら記します。


世襲のうまみ1−資金の相続
※いわゆる最近問題になっている。親が集めた政治資金であっても、政治団体に引き継げば親の政治資金が無税で子どものものになるという話です。相続で苦労されている一般の方からすると最も非難が集中するところかもしれません。ただし、公平を期すためにあえて指摘するならば政治団体の資金のやり取りについては、別に親族であるから相続税贈与税の対象が免除されているわけではなく、親族ではない第3者、例えば秘書などが政治団体を作り継承した場合でも同じメリットを受けることはできます。もっとも赤の他人にゆずってくれる先生がいればの話ではありますが・・・


世襲のうまみ2−年商1億円の政治家業
※身内が公設秘書になっているケースが多く、議員本人と3人の公設秘書をすべてを身内で固めると年商1億円程度になるという指摘です。さすがに3人とも身内という議員はいないようですが、1人は身内というケースは記事を見る限りそこそこの数ありました。家業になってしまうと家族皆が政治でご飯を食べていることになるので、誰か身内のものが政治家であり続けないと一族郎党が失業してしまうため世襲をおこなう必要があるといことですね。最も、政治家の秘書のなり手というのはなかなかおらず、また、厳しい労働条件ゆえに長く務め続けることができる人は少ないというのが現状だと政治家に聞いたことがあります。ゆえに身内しかなり手がいないのだと。まあ、そういうこともあるのでしょう。政治を支えるスタッフの問題は、また、別途考えてみたいと思います。


世襲のうまみ3−後援会組織に利権を分配 ※利益共同体としての後援会組織を維持する必要がある。後継を選ぶ際に候補者に手を上げるものが多く出ると後援会組織が分裂しそれまで築き上げてきた利益分配の仕組みがくずれてしまうのを防ぎたい。親族が継ぐのが一番しこりが残りにくくうまく組織を継承できるということですね。集めた資料を読み込んでいる際に、世襲議員が自分の出馬した際のことを話しているものがいくつかありました。それら資料によると本人は継ぎたくない、あるいは継ぐ気はないと考えていた。さらに国会議員(親)もそう考えていたのに後援会に押し切られてしぶしぶ出馬することになったたというようなエピソードが生まれるのは、こうした構造に原因があると考えてもよさそうです。しかし、一昔前の国家議員の中には後援会は出したいといって、本人も出る気になったのに絶対に継がせん、世襲は認めんと宣言して親族を落選に追い込んだ福井の故福田一先生のような方や戦前から続く国会議員の家系という名門でで山梨で金丸信と並ぶ権勢を誇った故田邊圀男先生のように長男を県議会議員にはしたけれども国会議員として後を継がせることはさせなかった。そんな例もありますのであたりまえですが、後援会が何といおうが、最後は、国会議員本人の見識、考え方の問題ということなのかもしれませんね。


 リード文はいかにも週刊誌というあおりですが、指摘している点はどれも、世襲政治家にとっては痛いところをつかれたと感じる点であり、問題提起になっています。また、日大の岩井奉信教授や政治評論家の三宅久之氏のコメントなども入れて、読者にとっては理解しやすい説明になっていました。


 肝心の「議員184人の世襲リスト」ですが、取材とアンケート調査を与野党の国会議員おこない、本人が世襲の場合と、世襲でない場合でも子弟が秘書や地方議員になっている世襲予備軍をリストアップしたものです。その数、184名。現在の衆議院の定数は480名ですから三分の一以上の国会議員が世襲議員であるかあるいは世襲をおこなおうとしているということがわかります。


 「議員184人の世襲リスト」の紹介に入る前にまず、世襲議員の定義について整理したいと思います。実は、世襲議員の明確な定義はまだなされていません。国会議員の世襲の定義については、通俗的な問題との印象があるせいか、あるいは調査に手間がかかるためか、本格的な学術研究のテーマとはなっていないようです。私は、研究者でないので知らないだけで誤った認識かもしれませんが、国立国会図書館蔵書検索、国立情報学研究所の論文情報ナビゲーター[サイニィ]などで調べた限りでは、学術書といっていいものは、市川太一広島修道大学法学部教授の(1990)『「世襲」代議士の研究 』日本経済新聞社松崎哲久民主党衆議院議員の(1991)『日本型デモクラシーの逆説―2世議員はなぜ生まれるのか』冬樹社の2冊しか探せませんでした。どちらも学術書としての体裁の強い文献ですが、データも豊富で読み物としてもさまざまな国会議員の例を取り上げており純粋に読み物としても面白い内容になっています。80年代から90年代にかけて戦後第一世代の国会議員の引退が相次ぎ、現在ほどではないかもしれませんが世襲問題がメディアを面白おかしく賑わしていたようです。そうした時代の雰囲気を受けつつも真剣に世襲議員の問題に取り組んだ良書です。世襲議員の問題に関心のある方は、必読の文献といっていいと思います。しかし、その後に続く研究がでなかったのは残念なことです。そのため先行研究の蓄積がないせいでしょう、私は興味深い研究テーマだと思うのですが、同じく前述の二つのデータベースで調べた限りでは、博士論文のテーマにもなっていないようです。


 この他には、ライターや作家が書いた雑誌記事やルポルタージュ、ノンフィクションの中に世襲議員を取り上げたものがある程度で、それも20年あまりの時の経過があったことを考えるとそれほど多いといえる数ではありません。本日のエントリーの最後に私が作ったリストがありますので詳しくはそちらをご覧ください。


 さて、具体的な世襲の定義についてですが、例えば、ジャーナリストの上杉隆氏は、「週刊・上杉隆ダイヤモンド・オンライン 日本の政治を蝕む世襲制度を断ち切る妙案は無いのか」<http://diamond.jp/series/uesugi/10072/>(2009/3/11アクセス)の中で「自民党内には三親等までを「世襲」と呼ぶ、という暗黙のルールがあるようだが、個別ケースによってそれはまったく違うようだ。」と述べています。


 また、民主党は4月27日、今日、開かれた党本部での政治改革推進本部の総会で、党の内規で同一選挙区での連続立候補を禁止する世襲制限の対象を現職国会議員の3親等以内とする方針で一致したとのことですので、自民党の暗黙の了解に近い考え方で世襲の定義づけをおこなったようです。


 前述の市川教授の著書では、国政レベルの議員が2代続いた家族を政治家族と定義して政治家族をキーワードとして世襲議員について論じています。また、第6章「世襲」代議士像の中で共同通信社がの世襲新人候補におこなったアンケート調査を紹介しており、その中で共同通信社がアンケートをおこなった範囲は、「候補者が父親(養父、義父を含む)や祖父が同じ県の知事や選出参議院議員であるか、党派が異なっていても、この二つの条件を満たす候補者」を対象としたと紹介されています。


 このように現状では現在の所は媒体や論者によって世襲の定義はバラバラであるといっていい状況です。とはいえ、総選挙を控えて、ここにきて急に世襲批判が盛り上がっています。自民党民主党ともに世襲に何らかの制限をかけようとする動きをしていますので、そこで一定の定義がなされる可能性はあります。しかし、世襲議員という呼び方以外にも2世議員(前述の松崎氏は著書の中で2世議員という言葉を先代の弟とか子供といった係累の者による地盤=後援会組織の世襲という意味で用いています。)という呼称がなされる場合もあり、認識が統一されてないことのあらわれといえると思います。


 さて、肝心の週刊ポスト2009年5月8日/15日号における「議員184人の世襲リスト」内の世襲議員の定義ですが、これは、ここまでに紹介したものよりも広い範囲を世襲と捉えて定義しています。また、後継の有無についても聞いています。以下に、原文から「調査対象者」、「世襲議員の」の判断基準と「後継の有無」の判断基準」を原文のまま引用します。


・調査対象者:現職の衆議院議員で、前回総選挙で選挙区からの当選者、比例当選だが次期総選挙で選挙区からの公認候補である者。及び元議員で今回立候補予定の者=(元)と表記


・「世襲議員」の判断基準:基本的に両親か祖父母(義理の血縁関係も含む)が国会議員、都道府県知事、都道府県議会議長、政令指定都市市長の場合。後藤田正純は大叔父が副総理、叔父が衆議院議員森山真弓永岡桂子は夫の、竹下亘は兄の死後に、地盤を引き継いでいるため世襲議員とした。


・「後継の有無」の判断基準:本誌独自取材と全対象者へのFAXアンケートを実施。子ども(義理の血縁関係を含む、以下同)に「公設秘書」「私設秘書」「地方自治体選挙への出馬経験を持つ物」がいる場合。及びアンケートの「子どもに選挙区は『継がせない』という考えか」という問いに「いいえ」「わからない」と回答した場合「後継の可能性あり」と判断した。


 こうした基準で調査した結果、世襲議員は184名いることがわかった。後継の有無については、明確に継がせると回答した議員はいなかったが、すでに公認候補として擁立が決まっていたり、秘書として働かせていたり地方議員にすでになっているケースが多数あることが明らかになり、また、継がせたいという声が後援会からあるという趣旨の回答をおこなっている議員もいて大変興味深い調査結果となっています。世襲議員問題に関心のある方は、ぜひ、手にとられることをお奨めします。


 今後もこうした調査を各メディアにはおこなってほしいですが、私が本調査で特に注目した点は2点あります。まずは、世襲の範囲を国会議員だけでなく、都道府県知事、都道府県議会議長、政令指定都市市長にまで広げたという点。小選挙区制導入に伴い1市1区という選挙区が生まれており、例えば首長や県議会議員の選挙区とまったく同一の小選挙区も多数あります。その意味では、調査の範囲を都道県議会議員政令市の市議会議員、市長村長にも広げてもいいと思います。選挙区が重なるということだけでなく、政治団体のお金の継承の問題はまったく国会議員の場合と同じ構図があるわけですから、一般の候補者より地方政治家の親族が有利な位置にいることは間違いないのですから。地方政界のボスの中には、並みの国会議員よりも力を持っている人物もいますし、自分の子息を国会議員にすることで自分が果たせなかった夢を実現しようとするケースもあるように思われます。もう一点は、後継の有無を聞くことで将来世襲の意思があるのかという確認がなされたということ、また、同時に親族が秘書や地方議員になっているかどうかをあきらかにしたことは大変意義深いと思います。


 ただ、残念な点もあり、学術研究ではないので仕方がない面はあるのですが、調査したデータを使って分析があまりおこなわれていないのはもったいないと感じました。例えば、どういった地域に世襲議員が多いのかといった点や、継承のパターンの類型化など、せっかくデータをとったのだからさまざまな角度から分析をおこなってほしかったとの思いは読後残りました。せっかく資料もある程度集めたので、私のチャレンジ精神が、むくむくと立ち上がってきたらそうした分析を独自におこなってみたいなと考えています。いつになるかはわかりませんが(笑)


 さて、大変長文のエントリーを書いてしまいました。ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます。わずかでも議員の世襲問題について理解を深める助けなりました幸いです。


 明日、blog書く元気あるといいのですが。正直、今日は、張り切りすぎました(笑)


付記:資料を読み込んでいく過程で気付いたことがあります。2000年前後頃までは、世襲にも功があるという論調も見られたということ。批判する場合でも世襲の功能の部分にも光をあてる書き方をしているケースが見受けられました(例えば門前の小僧習わぬ経を読むというようなことを述べたりする。知らず知らずのうちに政治を学んでいるからよいのではといった話)。2001年から2005年まで「週刊少年マガジン」で連載されていた『クニミツの政』で主人公クニミツが秘書として仕える坂上竜馬は、名市長とうたわれ国会議員も務めた親を持つ、元県議会議員という設定で、むしろそうした背景を持つことを好意的に描いていました。社会の風潮がそういうキャラクターを許さない批判的なムードにあるなら、こうした背景を持つキャラクターを重要な位置に据えなかったのではないだろうかということです。漫画の世界は競争も激しく社会雰囲気や顧客のニーズにも敏感です・・・私の考えすぎかもしれないですけど。


 とはいえ、どの時点が分岐点となったのかという点は考えてみると重要ですね。世襲批判自体は昔からあるわけですが、2005年の郵政解散の際に小泉氏が3代目の世襲議員であることを批判した人はあまりいなかったと思います。もっともあっても声が届かなかったということはあったもしれませんが。世襲政治家出身の総理が続き、また、2代続けて突然辞任したことが、2007〜8年頃から徐々に世襲批判がメディア等を通じて盛り上がった直接の原因でしょう。しかし、2009年の今、自民党民主党ともにマニフェストに盛り込むべきだとの議論をしなければならないほどに世襲批判が高まっている。その原因は、どこにあるのか。未曾有の大不況下の中でも特権を享受する人々に対する不満が、世襲議員に限らず高まっているということはあると思います。しかし、どうもそれだけではないような気がします。世襲議員に限ったことではないのです日本の行く道を現状の政治家たちが示せていない。リーダーシップが欠如しているようにみえる。そうしたひ弱な政治家に対する不満や怒りが対象が、ひ弱な政治家の象徴としての世襲政治家に対して特にぶつけられているのではないか。ふとそんなことを考えました。



<「世襲(2世)議員問題」参考資料リスト>
●単行本(※主たるテーマとして世襲を取り扱っていないが、内容が一部参考になると思われるも含まれています。残念ながら私もすべての文献に目を通したわけではありません。あくまで書名から類推した参考文献リストです。)
荒和雄(2009)『よい世襲、悪い世襲朝日新聞出版 (朝日新書)
福田博(2009)『世襲政治家がなぜ生まれるのか? 元最高裁判事は考える 』日経BP
別冊宝島編集部編(2008)『知られざる日本の特権階級』宝島社(宝島sugoi文庫)
八幡和郎(2007)『歴代知事300人日本全国「現代の殿様」列伝』光文社(光文社新書
小谷野敦(2007)『日本の有名一族―近代エスタブリッシュメント系図集』幻冬舎 (幻冬舎新書)
中嶋繁雄(2004)『日本の名門・名家100』幻冬舎
中嶋繁雄(2003)『閨閥の日本史』文藝春秋(文春新書)
(2003)『日本の名家・名門人物系譜総覧』 新人物往来社 (別冊歴史読本 (57))
神一行(2002)『閨閥−特権階級の盛衰の系譜』角川書店(角川文庫)
石村博子(2002)『東京の名家』角川書店 (角川oneテーマ21)
佐藤朝泰(2001)『豪閥 : 地方豪族のネットワーク』立風書房
宮川隆義(2000)『政治ハンドブック〈平成12年9月版〉』政治広報センター
佐藤朝泰(1994)『閨閥 : 日本のニュー・エスタブリッシュメント立風書房
松崎哲久(1991)『日本型デモクラシーの逆説―2世議員はなぜ生まれるのか』冬樹社
佐藤朝泰(1990)『日本のロイヤルファミリー』立風書房
佐藤朝泰(1987)『門閥―旧華族階層の復権立風書房
市川太一(1990)『「世襲」代議士の研究 』日本経済新聞社
伊藤昌哉、福岡政行(1988)『戦国自民党』第一企画出版社
牧太郎(1987)『永田町の上流家族 : 政界と財界を結ぶ“血の絆"とは』竜興社 かんき出版
週刊読売編集部編(1987)『日本の名家』読売新聞社
長沼石根(1987)『地方の神々―現代ニッポンの首長』ぎょうせい
四方洋(1986)『土着権力』講談社
塩田潮(1986)『首領は何を見たか』講談社
野沢博通(1983)『中曽根康弘・悪の構図 : 危険思想の解剖・ウソのつき方・変身術・驚くべき錬金術・人脈・金脈・閨閥の内幕』エール出版社
早川隆(1983)『日本の上流社会と閨閥角川書店
長沼石根(1983)『地方政治家』晩声社 (ルポルタージュ叢書〈31〉)
※地方政治家のルポの嚆矢にして傑作。ただ、その後地方の政治家、特に自治体議員をテーマに取り上げた本格的なルポルタージュ、ノンフィクションは、ほぼ発表されていないといっていいです。議員自らが自伝、政策集、エッセイ的に発表したものは、私家版も含めると毎年一定数出版されていますが、しかし、残念ながらそうした作品の中に読み応えのあるものは少ない。一部の研究者が地方自治体議員のオーラルヒストリーを製作していると聞きますので、そうした動きが大きくなりこの分野のジャーナリズムや研究が広がることを期待したいです。
鈴木幸夫(1965)『閨閥 : 結婚で固められる日本の支配者集団』光文社(カッパ・ビジネス)


●雑誌(※同上)
(2009)「またもや2世政治家、こんな軽い男で大丈夫!?麻生退陣秒読み「石原伸晃政権」3月誕生のウルトラC」『週刊現代』(2009/3/7)pp.24〜27.講談社
上杉隆(2009)「二世議員の「羞恥心」大研究」『週刊文春』(2009/1/1・8)pp.54〜58.文藝春秋
上杉隆(2009)「追及キャンペーン 小渕優子が無税で手にした「1億2千万円」二世議員の「世襲」猛批判」『週刊文春』(2009/2/12日号)pp.24〜27.文藝春秋
上杉隆(2009)「大反響 二世議員の「世襲」猛批判 バンソウコウ王子大喜び 自民「我が子」のための選挙改革--政府与党が宣伝する「大選挙区制」で恩恵を受けるのは二世議員だ 」『週刊文春』(2009/2/19日号)pp.24〜27.文藝春秋
上杉隆(2009)「二世議員の『世襲』猛批判 安倍、福田……ひ弱な二世をつくる「後援会」」『週刊文春』(2009/2/26日号)pp.150〜153.文藝春秋
上杉隆(2009)『週刊文春』「「イバる」「ブレる」「スネる」「世襲」猛批判 麻生太郎 この男「三世」につき」(2009/3/12日号)pp.30〜32.文藝春秋
上杉隆(2008)「二世首相「バカの連鎖」を即刻止めろ--安倍、福田の連続「ポイ投げ」。二世議員に首相は無理だ (総力特集 「ダメ政党」の正体見たり!)」『週刊文春』(2008/9/11)pp.32〜33.文藝春秋
上杉隆(2008)『週刊 ダイヤモンド』「格差政治の勝ち組「世襲議員」に世の格差が実感できるはずがない」(2008/8/30日号)pp.68〜70.ダイヤモンド社
(2008)『週刊 ダイヤモンド』「column地方議員大阪市議会では四人に1人!地方議員に広がる世襲・家業化」(2008/8/30日号)pp.71.ダイヤモンド社
小林吉弥(2008)「立身出世 四代続けて世襲首相の現代があまりに情けない (SIMULATION REPORT 景気対策格差是正霞が関改革、すべて「角栄政治」にヒントがあった田中角栄は生きている。)」『サピオ』(2008/12/17号)pp.27〜2.小学館
鈴木宗男(2008)「世襲&官僚政治家が日本を滅ぼす」『月刊テ-ミス』(2008/12)pp.86〜87.テ−ミス
永田公人(2008)「斬人斬馬 政界引退--世襲表明で自民「小泉時代」閉幕へ」『政経人』(2008/11)pp.26〜29.政経
(2008)「世襲政治 「小泉家の秘密」と後継ジュニアの素顔」『週刊朝日』(2008/10/10) pp.21〜23.朝日新聞出版
堺屋太一(2008)「二代目の研究(第2回)二世議員VS.試験官僚」『現代』(2008/9)pp.146〜156.講談社
堺屋太一(2008)「二代目の研究(新連載・第1回)「平成名物」二世総理」『現代』(2008/8)pp.30〜422.講談社
寺田 利行、渡邉 正次郎「平成仕置人・寺さんが斬る特別対談(1)渡邉正次郎(作家、政治社会評論家) 今の政治家は、利権政治屋と口先だけ達者な世襲議員ばかりだ」『政界往来』(2008/7)pp.18〜22.政界往来社
荒和雄(2008)「特集 世襲の研究 」(2008/8)ボスpp.11〜39.経営塾
世襲議員「撲滅」が日本の政治を変える--2世どころか3世・4世も 福田首相のやる気のなさは秘書官で長男の達夫氏に譲るつもりだから」『月刊テ-ミス』(2008/2)pp.23〜25.テ-ミス
宮川隆義(2008)「自民党政権ファイナルカウントダウン 麻生「生き地獄」小沢「天下盗り」--衆院選「300選挙区」完全予測--全選挙区の世襲・二世候補データ付き」『週刊文春』(2008/10/9)pp.40〜51.文藝春秋
松田賢弥(2008)「小沢一郎の金脈を撃つ連続追及(第12回)長男「世襲」と「資産相続」問題」『週刊現代』(2008・09/12・1/27・3)pp.153〜155.講談社
川村亨夫(2007)「分析寄稿世襲政治でレームダック化した日本は外国人受容の社会構造構築が必要だ」『エルネオス』(2007/12)pp.50〜53.エルネオス出版社
榊原博行(2007)「劣化する政治家たち 世襲政治家の総退陣を迫る」『政経往来』(2007/11)pp.16〜20.民評社
(2007)「共産も世襲時代「穀田」Jr.の評判 (参院選ワイド) 」『読売ウイークリー』(2007/7/22)pp.23〜24.読売新聞東京本社
(2007)「日本を支配する「世襲閨閥議員」--安倍晋三はその典型」『選択』(2007/2)pp.48〜50.選択出版
永江朗(2007)「永江堂書店(第17回)「世襲」を考える10冊」 『小説tripper』(2007(冬季))pp.332〜335.朝日新聞社
横田一(2006)「安倍人脈--"世襲総理"が相続した"怪しげな"ネットワーク(特集 日本を動かす「人脈」解剖)」『Zaiten』(2006/12)pp.20〜25.財界展望新社
森永卓郎「緊急特報 安倍政権でこう変わる!! 経済政策・社会構造・憲法改正… ますます広がる『格差社会』。『勝ち組』はさらに強大に『負け組』はさらに増大傾向になる!! (第一特集 日本的"世襲"にみる成功・失敗の法則 徳川300年に学ぶ「後継者選び」大研究) 」『ビジネス・インテリジェンス』(2006/11)pp.34〜37.ビジネス・インテリジェンス社
板垣英憲(2006)「徳川世襲代表の「小泉首相」、野党代表・小沢党首、鳩山幹事長もすべて「世襲」議員…… なぜ「徳川型世襲」が政界でも見直されているのか? (第一特集 日本的"世襲"にみる成功・失敗の法則 徳川300年に学ぶ「後継者選び」大研究)」 『ビジネス・インテリジェンス』(2006/11)pp.27〜30.ビジネス・インテリジェンス社
宮崎哲也(2006)「結果を出さなければ淘汰されるスポーツ界、ビジネス界の世襲を尻目に政界にはびこるジュニアたちの世襲政治国家、日本の陥穽… わが国が政治小国に甘んじている最大の要因は"世襲"にあり!! (第一特集 日本的"世襲"にみる成功・失敗の法則 徳川300年に学ぶ「後継者選び」大研究)」『ビジネス・インテリジェンス』 (2006/11)pp.14〜17.ビジネス・インテリジェンス社
中村啓三(2005)「政流観測 混迷の時代を予感させる世襲議員だらけのポスト小泉」『エコノミスト』(2005/11/22)pp.74〜75.毎日新聞社
渡邊正次郎(2005)「国会議員は儲かる仕事? 世襲議員が日本を滅ぼす--小泉純一郎こそ国民と国会議員の幼稚化の象徴」『月刊タイムス』(2005/5)pp.30〜33.月刊タイムス社
上田泰輔(2004)「永田町研究 参院選の深層に「日本衰退への序曲」が聞こえる 二大政党への底流と世襲議員続出の深刻な意味」『ニュ-リ-ダ-』
(2004/9)pp.46〜49.はあと出版
「世界の動き Singapore 華麗なるリー家支配 シンガポール"世襲政権"の弱み」『公研』(2004/9)pp.110〜112.公益産業研究調査会
海上知明(2004)「歴史で解く現代 議員世襲と貴族政治」『時事トップ・コンフィデンシャル』(2004/6/11)pp.14〜16.時事通信社
花岡信昭(2004)「世襲国会議員の功罪論--政党は候補者養成システムを作れ (特集 ベタ凪政局・最新永田町政治模様) 」『月刊官界』(2004/5)pp.40〜45.行研
(2004)「姿勢 無能な世襲政治家は去れ」『月刊テ-ミス』(2004/2)pp.5.テ-ミス
山口朝雄(2003)「検証 二世議員・政治家のDNA--カエルの子はカエルなのか (特集 政局混迷・永田町大波乱の予感) 」『月刊官界』(2003/7)pp.38〜45.行研
志村嘉一郎(2003)「平成考現学(4)日本の改革と成長を阻害する政治家の世襲」『ベルダ』(2003/11)pp.19.ベストブック
山本 一太 , 河野 太郎 , 野田 聖子 [他](2000)「世襲のどこが悪いのか 功罪あるが、求められるのは志と資質 (二世議員が本音バトル 親の七光りで永田町変える)」『週刊読売』(2000/12/3)pp.32〜36.読売新聞社
石川好(2000)「視点 世襲政治大国の「家名」政治家」『週刊東洋経済』(2000/07/15)pp.170.東洋経済新報社
(2000)「小渕優子--?世襲?に渡部恒三が「最悪の選択」の批判 (総選挙を沸かせたオンナたち) 」『週刊宝石』(2000/7/13)pp.29〜31.光文社
(2000)「群馬5区小渕優子気配りも「世襲」…(総選挙ワイド焦点区密着ルポ自民、民主「最後の攻防」)」『週刊朝日』(2000/6/30)pp.26.朝日新聞社
横田一(2000)「選挙区ルポ-2-群馬5区--小渕前首相の二女立候補に見る政策そっちのけの「世襲型選挙」 (総選挙特集第4弾 民主主義を取り戻そう!) 」『金曜日』(2000/6/9)pp.24〜25.金曜日
本田雅俊(2000)「政治は「稼業」でも「家業」でもいけない--小選挙区制で増える「世襲の殿」は「君子」たり得るか」『時事解説』(2000/1/18)pp.2〜7.時事通信社
Branson Louise(2000)「世襲化するアメリカ政治」『フォ-サイト』(2000/9/10)pp.74〜77.新潮社
小関哲哉(1999)「世界潮流観察モーバイルな時代の米大統領選挙--総浮足立ちの中、世襲政治家指導力は」『時事解説』(1999/9/21)pp.2〜6.時事通信社
神谷克己(1999)「李登輝総統の世襲制批判」『農政と平和』(1999/9)pp.34〜35.「農政と平和」研究所
鈴木健二(1999)「世襲議員が政治をダメにする--日本と米国の場合」『金曜日』(1999/4/2)pp.32〜34.金曜日
中村啓三(1998)「二世議員に「改革」を期待できるのか (特別企画 国会を監視する) 」『潮』(1998/06)pp.86〜92.潮出版社
寺田 利行、渡辺 正次郎(1998)「寺さんの一刀両断Special--渡辺正次郎氏に聞く--二世議員が政治腐敗の元凶だ!!」『政界往来』(1998/05)pp.52〜54.政界往来社
山本 一太、本沢 二郎(1998)「政治評論家・本沢二郎の次代を担う若手政治家に聞く--ゲスト参議院議員山本一太氏(自民党)--全ての二世議員には親を超える責任があります」『政界』(1998/2)pp.44〜48.政界出版社
(1997)「特集 世襲のどこが悪い!?--21世紀は世襲の時代 再評価したい世襲の長所」『日経ベンチャー』(1997/10)pp.18〜34.日経BP
佐藤達也(1993)世襲の現在 (「2世」の時代<特集>) 『思想の科学 第8次』(1993/3)pp.30〜38.思想の科学社
岩上安身(1990)「彼等はなぜ政治を世襲したか」『文芸春秋』(1990/2)pp.152〜166.文芸春秋
鈴木健二(1989)「「2世議員」増殖で強まる政治の世襲化 (自民党の徹底研究<特集>) -- (PART-3-)」『エコノミスト』(1989/7/3)pp.104〜109.毎日新聞社
鈴木健二(1988)「アメリカの"選ばれた貴族"たち-下-世襲政治家育てる選挙制度」『エコノミスト』(1988/8/2)pp.24〜30.毎日新聞社
鈴木健二(1988)「アメリカの"選ばれた貴族"たち-上-世襲政治家育てる選挙制度」『エコノミスト』(1988/7/26)pp.22〜28.毎日新聞社
五十嵐暁郎(1986)政治家2世 めざせ永田町1番地(含 2世議員全一覧) 『潮』(1986/12)pp.110〜137.潮出版社
塩田潮(1986)「2世議員は国を滅ぼすか」『諸君』(1986/1)pp.126〜142.文芸春秋
浅川博臣(1977)「政界・世襲エリ-トの功罪(エリ-ト再考-4-) 」『自由』(1977/5)pp.147〜153.自由社


●学術論文(※紀要等に掲載され学術論文と思われるものについて掲載しました)
田村秀(2007)「世襲政治の研究」『法政理論』(2007/2/26)pp.86-113.新潟大学
廣瀬陽子(2005)「アゼルバイジャン世襲政治 (特集=革命に揺れるCIS) 」『海外事情』(2005/5)pp.51〜62.拓殖大学海外事情研究所
谷口尚子(2005)「議席世襲地方財政」『帝京社会学』(2005/3)pp.91〜112.帝京大学文学部社会学
山崎充彦(1999)「参議院全国区・比例代表区における中央官庁による「議席世襲化」傾向について--55年体制成立期から平成10年通常選挙まで」『社会システム研究』(1999/1)pp.137〜151.京都大学大学院人間・環境学研究科〔ほか〕
市川太一(1988)「世襲代議士と選挙区--広島県2区を中心として」『法学研究』(1988/12)p.137〜163. 慶応義塾大学法学研究会
青木康容(1979)「議員職の「世襲」について ― 第三三回衆議院議員総選挙の場合 ― 」『評論・社会科学』(1979/3/20)p.105-122.同志社大学人文学会


●参考WebSaite
「2005年総選挙選出衆議院議員一覧」<http://www.shugiingiin.com/>(2009/3/11アクセス)
Wikipedia世襲政治家一覧の項」<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E8%A5%B2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E4%B8%80%E8%A6%A7>(2009/3/11アクセス)
「日本の政治改革」<http://www.kyudan.com/>(2009/3/11アクセス)
「2世3世議員データバンクtop」<http://www.notnet.jp/data01index.htm>(2009/3/11アクセス)
「ザ・選挙 -国会議員白書-」<http://www.senkyo.janjan.jp/diet/dietinfo/relation/relation.php>(2009/3/11アクセス)
東京財団研究員加藤創太「世襲議員と政策形成のあり方について―「政治主導」時代へのインプリケーション―(1)」<http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=121><http://www.tkfd.or.jp/research/sub1.php?id=225>(2009/3/11アクセス)
東京財団研究員加藤創太「世襲議員と政策形成のあり方について―「政治主導」時代へのインプリケーション―(2)」<http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=123>(2009/3/11アクセス)
東京財団研究員加藤創太「世襲議員と政策形成のあり方について―「政治主導」時代へのインプリケーション―(3)」<http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=125>(2009/3/11アクセス)
世襲議員についてコンパクトにまとめて論じられておりわかりやすい小論です。自民党幹部に世襲議員が多いのは70年代頃に制度化された当選回数による役職の割り振りのため。若くして当選し回数を重ねることが出世のための必須条件となったことが影響していると指摘しています。こういった指摘は前掲の市川氏、松崎氏をはじめ多くの政治学の研究者が指摘しているところです。自民党のメリットシステムについての代表的な研究としては、佐藤誠三郎松崎哲久(1986)「自民党政権中央公論社があります。
上杉隆「週刊・上杉隆ダイヤモンド・オンライン 日本の政治を蝕む世襲制度を断ち切る妙案は無いのか」<http://diamond.jp/series/uesugi/10072/>(2009/3/11アクセス)
国立国会図書館蔵書検索・申込システム」<http://opac.ndl.go.jp/
国立国会図書館現代日本政治関係人物目録」<http://refsys.ndl.go.jp/hito.nsf/Internet?OpenFrameset
「CiNii - NII論文情報ナビゲータ」<http://ci.nii.ac.jp/


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