血の政治―青嵐会という物語 (新潮新書 325)

 男たちの情念がぶつかり合う55年体制華やかなりし頃の政治物語。そのまま劇画映画に出来そうな人間くさいエピソードが多数紹介されている。特に入閣を逃した際に筆者が見たハマコーの靴の描写や中川一郎渡辺美智雄の最後の別れのシーンが印象に残った。


 青嵐会並みにアクの強い政治家たちが集団で新党を作るのであれば、今日取りざたされている保守新党結党の動きも社会的インパクトを持つのだろう。しかし、政界を見回しても人間的な迫力を持つ政治家はほとんどいない。悲しむべきことなのかどうか受け止め方は個々人によって違うだろうが、私はそうした現状に一抹の寂しさを覚えずにはいれない。


 本書は青嵐会が、日本の保守政治の中で思想的、政策的にどういった位置づけを持った政治家集団であったのかについても詳細に分析をおこなっている。


 それにしてもこれだけの熱量を持った政治家の傍で取材をおこなう機会を得て交わりを持つことができた筆者が、正直なところうらやましく思う。


血の政治―青嵐会という物語 (新潮新書)

血の政治―青嵐会という物語 (新潮新書)

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