後援会活動・地域周りの思い出

 思い出話になります。以前、ある政治家の後援会活動に関わっていた頃のことです。後援会への入会のお願いに地域を一軒一軒、回らせていただく経験をしました。

 支持者や団体回りと違い、特定のお宅を訪問するわけではなく、地図とリーフレットを持って、まったく知らない方の家にお邪魔します。

 ご経験のある方には、共感いただけるのでないかと思いますが、当たり前ですが訪問先で歓迎されることはあまりなく、ご迷惑をおかけする行為です。しかし、1日に100軒、200軒とお邪魔していると、それぞれの地域の風土や住まわれている方々の個性など、いろんなことがわかります。このようなことを書くとお叱りを受けるかもしれませんが、刺激をうける事ができるので、嫌いな活動ではありませんでした。

 私は、たいした腕ではありませんが、若い頃から一通りの事務ができたのと、体を動かすことは、あいつは苦手だと思われていたようで(これは誤解なのですが)、事務所の奥ででひたすら事務をする役割を担う事がおおかったです。

 しかし、この役割は正直あまり楽しくなかった。事務がいやということではなく、一日、事務所にいるといろいろと人間関係に起因する嫌なものを見てしまうからです。今回書きたいことの本筋には関係ないので詳細は述べませんが、人間の美しさも醜さもすべてがあそこにはあったと思います。ですから、外に出るチャンスとなる活動には自然力が入りました。

 最近は、年をとって感性が擦れたのでしょう、同じような場にいてもほとんど何も気にならなくなりました。むしろ、密かに面白いと感じている自分がいることに驚くことがあります。不謹慎かもしれませんが。

 さて、本題です。あるお宅を訪問した時のことです。玄関先で初老の男性が対応してくださいました。そう数は多くないのですが、いろんなお宅にお邪魔すると、まれに政治に関心の強い方に出会うことがあります。この方もそういう方でした。

 ひとしきり、お話しした後に、私が推す候補者の対立候補について、評価を求められました。たまたま私は、その方にもお会いしたことがあり、悪い印象を持っていませんでした。派手さはないが実直な人柄の方と感じていたので、そうした印象を持っていることをお伝えしたうえで、実績のある方だと思いますといったことを話したと記憶しています。そのうえで、候
補者について応援する理由をあらためて述べました。

 後日、その方が事務所を訪ねてみえました。候補者がいたため、ご紹介したところ、私のことを大変ほめてくださいました。実は、その方は対立候補に縁が深い方だったのですが、そのことを私には伝えず会話をしていたのです。敵であっても汚い悪口をいわず、良いと思う所は良いといえるのは素晴らしいとのことでした。

 昨日、「敬意」について書きましたが、私が敬意を払うことが大事と考えるようになった理由には、こうした経験があったからではないかと、ふと、思い出したため書きとめました。