【小考】名古屋市経営会議の経営アドバイザーが新たに任命されました

 昨日(5/15)の新聞各紙は朝刊で名古屋市経営会議の経営アドバイザーに新たに10名が移植されたことを一斉に報じました。


●経営会議(新たに移植された経営アドバイザー)に関する記事リスト
「河村氏、名古屋はホワイトハウスアドバイザー11人(朝日新聞5/14)」
http://www.asahi.com/politics/update/0514/NGY200905140009.html>(2009/5/16アクセス)
名古屋市経営アドバイザー、新たに10人委嘱愛知(中日新聞5/15)」
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20090515/CK2009051502000174.html>(2009/5/16アクセス)
「09名古屋の変:市アドバイザー、11人中9人が「チーム河村」(毎日新聞5/15)」
http://mainichi.jp/chubu/newsarchive/news/20090515ddq041010017000c.html>(2009/5/16アクセス)
「公設ブレーン 4→11人 ――河村流(読売新聞5/15)」
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/090515_5.htm>(2009/5/16アクセス)


 これら一連の報道を読む限りでは、名古市政の運営に実際に関わってもらう(そんなことが本当に可能なのかどうかは未知数ですが)という趣旨で経営アドバイザーとして移植しているという意図が読み取れます。ただし、現在の「経営会議設置等に関する規則」を読む限り、経営会議はそうした役割を果たすために設置された組織ではなく、あくまで規則第5条にあるとおり「行政経営に関する事項を調査し市長に提言する」組織であり、現在はその運用を変更する形で活用しているようですが、報道が事実であるとすれば、やはり何らかの組織改変は必要ということになるのではと私は考えています。また、早速一部議員からは、批判、疑問を呈す声(友達人事だとか議会や役所はいらないのかなど)をあがっており6月議会での議論の争点の一つになりそうです。

名古屋市経営会議」<http://www.city.nagoya.jp/shisei/gyouzaisei/keieikaigi/>(2009/5/16アクセス)
※経営会議設置等に関する規則<http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_int_nfm/reiki_honbun/i5020972001.html>(2009/5/16アクセス)


 河村市長が市政運営についてリーダーシップを発揮するために色々な手を打ってきていることについては、私は好意的にうけとめていますが。この経営会議の問題については、委員の人選の根拠や行政の運営に実際に関わるとはどういう意味かなど疑問に感じる点もあり、6月議会ではもちろんご説明はなさるのでしょうが、できればそれよりも早い時期に市長記者会見の場などを通じ河村市長ご自身からより詳しい説明をうかがいたいです。


 さて、経営アドバイザーの人選についてですが、著名な方が並んでいます。私がインターネット等を通じて調べた限りでは、河村市長のマニフェストを作ったチーム河村のメンバーが中心で11人のうち9名はそうだとの報道があります。おそらく、栗岡氏と藤岡氏をのぞいた9名がチーム河村のメンバーだったのではないかと推測(誰がチーム河村のメンバーであったか正確に報じた報道は見つけることができませんでした)しています。


 以下は、私が独自に調べた経営アドバイザーのキャリアと河村市長との接点を表にしたものです。インターネットを中心に調べましたので誤解ということもあるかもしれません。読者の皆さんが、疑問に感じた点があればご指摘ください。

氏名 所属 河村市長との接点 参考ウェブサイト
浅野洋 名古屋税務研究所長(市民税減税、地域委員会の監査) ※名古屋税務研究所は、名古屋税理士会内の機関。しんせい綜合税理士法人代表社員、チーム河村のメンバー? 「名古屋税理士会機構図」<http://www.meizei.or.jp/meizei/outline/pdf/organization0710.pdf>(2009/5/16アクセス)、「しんせい綜合税理士法人」<http://www.shinseisogo.com/index.htm>(2009/5/16アクセス)、「頑張ってます岐阜県人 浅野洋さん−岐阜新聞 Web」<http://www.gifu-np.co.jp/kikaku/ganba/20070905.shtml>(2009/5/16アクセス)
石村耕治 白鴎大法学部教授(市民税減税、寄付税制) 非営利法人税制研究の第一人者。NPO支援税制の研究などもおこなっている。主催するプライバシー・インターナショナル・ジャパン(PIJ)に相談役として市長参加、チーム河村のメンバー? 「プライバシー・インターナショナル・ジャパン(PIJ)」<http://pij-web.net/user/pij_index.php>(2009/5/16アクセス)
後房雄 名古屋大大学院法学研究科教授(地域委員会、全般) 市長のマニフェスト作成の中心人物、チーム河村のメンバー? 「市民フォーラム21・NPOセンター代表理事」<http://www.sf21npo.gr.jp/>(2009/5/16アクセス)
江口克彦 PHP総合研究所社長(経済) 名古屋生まれ、市長はPHP総合研究所発行の月刊誌『Voice』に小論を載せたことがある。チーム河村のメンバー? 民主党代表戦へ「庶民革命」の決意」『2008年9月号月刊「Voice」』(PHP)214頁〜221頁<http://takashi-kawamura.com/2008daihyo/Voice%20200809.pdf>(2009/5/16アクセス)、「民主党は旨いラーメンをつくれ」『2007年2月号月刊「Voice」』(PHP)202頁〜207頁<http://www.php.co.jp/magazine/detail.php?code=12350
栗岡完爾 トヨタ自動車相談役(経済) これまでの経営会議でもアドバイザーを務めていた。一旦委嘱を解かれにもかかわらず再任された形になります。なぜか? 名古屋商工会議所栗岡完爾副会頭戦略を聞く中部経済中部発YOMIURI ONLINE(読売新聞)」<http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/senryaku/senryaku081007.htm>(2009/5/16アクセス)
小島敏郎 環境省地球環境審議官(生物多様性条約第10回締約国会議など) 旭丘高校校舎建て替えてんまつ記に寄稿。チーム河村のメンバー? 「消された校舎旭丘高校校舎建て替えてんまつ記」<http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=1068-7>(2009/5/16アクセス)
武田邦彦 中部大学総合工学研究所教授(環境) 地球環境問題について従来の定説と異なる主張をして有名な工学者。チーム河村のメンバー?  
長尾正崇 広島大学大学院医歯薬学総合研究科教授(児童虐待問題など) 名古屋革手錠で「革手錠が原因ではない」との再鑑定をおこなった法医学者。チーム河村のメンバー? 「国営ナンタラ通信kawamura」<http://centertail.hp.infoseek.co.jp/baka/kawamura.html>(2009/5/16アクセス)
藤岡喜美子 市民フォーラム21・NPOセンター事務局長(福祉子育て) 後教授が代表理事をつとめる市民フォーラム21・NPOセンターの理事兼事務局長 「市民フォーラム21・NPOセンターの役員紹介」<http://www.sf21npo.gr.jp/yakuin.htm>(2009/5/16アクセス)
藤田民夫 名古屋記念病院院長(医療) 河村市長の確認団体「元祖けった(自転車)の会」会長。チーム河村のメンバー? 中日新聞河村氏が議員辞職衆院議長に提出名古屋市長選(CHUNICHIWeb)」<http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ele_mayor/list/200904/CK2009040402000201.html>(2009/5/16アクセス)
山田昭義 社会福祉法人AJU自立の家専務理事(障害者福祉など) 名古屋における福祉のまちづくりの活動の第一人者。チーム河村のメンバー? 「AJU自立の家山田昭義さんに聞きました! 」<http://www.crayon-box.jp/tama/04/04aju-yamada.htm>(2009/5/16アクセス)


 こうして、まとめて確認しますとお一人お一人は、名古屋でもよく知られた人物であり、それぞれの分野で立派な見識と実績をお持ちのメンバーだと思います。しかし、私が大変疑問を持ち、危惧していますのは、この経営アドバイザーの中に名古屋市の行政に通じた人材は入っているのかということです。名古屋市は2万人を超える職員を擁し、一般会計と特別会計をあわせた予算は約2兆円という国の省庁すらも規模の上では凌ぐで自治体です。恐縮ですが、失礼ながら、これだけのものを対象にして改革をなすにあたって、ご自分の仕事もお忙しい中で、どれだけすぐれた人材であっても、非常勤のボランティアの経営アドバイザーとして関わる形で何人、人を入れたとしてもここの施策について影響を簡単にあたえられるのか疑問をもっています。といいますか、とても何とかなるとは思えません。何らかの形で常勤で市長の改革を支える人材を登用する必要があると思います。


 例えばですが、現在ある市の仕組みを活用するなら、非常勤特別職の政策参与を限りなく常勤に近い形で活用し、上記の朝日新聞の記事にあるように「市長とともに実質的に市政運営に携わる」れる人材を登用し改革をおこなうという選択肢もあると思います。同じ政令市の横浜で、中田市長が参与に横浜市の行政経験が豊富なOB(定年退職したわけではなく、早期に独立し研究者などになっている活躍している人物)を2名参与に登用し、改革にあたったという例があります。また、少々古い例でしかも評価はわかれる事例になりますが、かっての革新自治体、美濃部都政などでも同様の手法がとられ一定の成果をあげたと記憶しています。


 現状では具体的な内容がみえてきてはいませんが、今後も名古屋市経営会議、経営アドバイザーの動きには今後も注目し、このblogでも必要に応じてフォローしていこうと考えています。


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