為書き

 今日は、選挙関係で軽めのネタを一つ。為書きについて。


 為書きとか激ビラといわれてピンと来る人は、選挙事務所に出入りしたことがある人ですね。国政選挙の開票速報などで選挙事務所が映った際によく壁などに張ってある「必勝」と書かれた大きなポスターのことです。「為○○」から始まるため、「為書き」といわれたり、候補を激励するために親交のある議員などから送られるものであることから「激ビラ」と称されることもあります。


 一般に支援団体等からいただく推薦状の類は為書きとは別にありますから、正直なところ為書きって何のためにあるのかよくわからない(なんであるんですかとは普通聞けないですけど)ものなのですが、選挙事務所を彩る風物詩の一つではあります。あんまり日常の付き合いのない議員さんから送られてくることもあるんですが、そういう方のものは見えにくいところに張ったりすることもありますね。


 為書きは政治業界特有の社交の一つだと私は理解しています。とりあえず今回あなたに送るから私の選挙の時も送ってね。そんなぐらいの意味でお付き合いで送る文書ではないでしょうか。後、頂く側としては、事務所にたくさん張り出すことで、自分は、色んな有力者に応援してもらっているということを訪れる人に見せ付けるという示威的な効果がえられるということはあると思います。


 ちょっとひねくれた言い方をしますと選挙事務所を独特の一般の方が気軽に入りにくいムードにする効果が為書きにはある気もします。私は直接みたことはないですけど、そういうムードが生じることを嫌ってか無党派とか市民派候補と呼ばれる候補者さんの中には為書きを張り出さないようにしている例もあると聞いた事があります。


 ただ、これに強い関心を持っている方もいて、例えば、どんな地域にも一人や二人はいる選挙好きのおじさんが、選挙事務所を訪ねた際に為書きを見ながら候補者の政治的なネットワークについて確認し、事務所の人間と色んな話をされるという光景を見ることはよくあります。そうした方からは、一般的なメディアには載らない地域の政治史の一端が聞けるので、個人的にはお話しするのを楽しみです(あまり忙しいときに来られると困るということはありますけど)。


 あらためて為書の言葉の意味を調べてみると「書画やサインなどに、誰のために書いたものかを書き添えること」とのこと。なるほどそういう意味だったのか・・・・


為書とは - はてなキーワード
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B0%D9%BD%F1


 ともかく、いつから始まった風習なのかわかりませんが、私が始めて選挙に関わった十数年前には普通にありましたね。その頃は、字の上手い支援者の方が、毛筆で書いていた記憶があります。今は、印刷屋さんなどで印刷してもらって候補者の名前の部分だけ後で書き入れるというやり方が一般的になっているようです。カラーのものや写真入のものもありますね。Googleでイメージ検索をかけてみると色んなデザインのものが多数出てきました。選挙ポスターの研究をされている学者さんはいますが、為書きの研究をされている方はいないと思いますので、面白い研究分野かもしれないですね(政治学というよりは民俗学の分野かな?)。


為書き - Google 検索
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E7%82%BA%E6%9B%B8%E3%81%8D&lr=lang_ja&rlz=&um=1&ie=UTF-8&sa=N&tab=wi


 為書きに限らず外から見ておそらく不思議に感じる風習はいくつもあると思います。ひょっとしたら私も染まっていて気付いていないこともあるかもしれませんが。さて、明日は、もう少し骨太の内容で書けるといいのですが・・・では、では。