本業 (文春文庫 あ 41-3) 2009年04月17日 23:45

 ミランカ[miranca]で配信されていた「博士も知らないニッポンのウラシリーズ」で水道橋博士が見せた人間に対する鋭い観察力や批評力、ツッコミ力には敬服し、いつも楽しみにして見ていたが彼の書いた本ははじめて読んだ。しかもタレント本の書評本。タレント本というジャンルは明確に存在するがその批評本というジャンルが成り立つとは考えたこともなかった。


 第一、官能小説から政治家の回顧録まで何でも読む私だが、タレント本だけは一冊も読んだことがない。なぜかと問われても食指が動かないからとしか答えられないのだが、佐野眞一の「東電OL殺人事件」や野中広務の「老兵は死なず」までタレント本の枠組みに組み入れて書評する博士の筆力には脱帽した。


 本書の書評を読んで、タレント本そのものに対する関心よりもタレント本の書評に対する関心が高まってしまったのは私だけだろうか。しかし、次なるタレント本書評本(舌を噛みそうだ)を書いてこの欲求を埋めてくれるタレント本の書評本を書いてくれそうな作家は、水道橋博士意外にはあらわれそうにもない。残念だ。

本業 (文春文庫)

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