政治家、特に国会議員のソーシャルメディア利用について

 国立国会図書館発行のレファレンスNo.724(2011年5月)に掲載された論文を読んでいて気になるデータの記載がありました。ちょうど一年ほど前に日本の国会議員がソーシャルメディアをどの程度利用していたのかについてのデータです。この論文で調査がおこなれた時点では、ソーシャルメディアを利用する国会議員は、ひと桁台でした。このデータを起点に現在の状況を見るとソーシャルメディアを利用する国会議員が、この一年で一気に増えたことがわかります。

 しばらく前に個人的に国会議員のソーシャルメディア利用者を調べて、利用率を概算してみたことがあるのですが、ざっと、全国会議員の約2割程度に利用者数が増えていました。これは、勘ですが、日々、利用議員が増えていますので、現在は、3割程度にはなっているかもしれません。

 利用議員は増えていますが、活用方法はまだ定まっておらず、模索中という印象があります。積極的に本人が、さまざまな人との交流に活用しているケースもあれば、クローズドに利用しているケースも見受けられます(そもそものFacebookの主旨からするとこちらの方が正しいのでしょうが)。また、勉強会などのイベントの発信に熱心な議員さんも増えてきました。集客力に定評のあるFacebookの有効な使い方だと思います。

 とはいえ、なりすましでないかという著名な国会議員のアカウントも見かけたこともありますし、休眠状態のアカウントもあります。まだ、国会議員の中では、いろんな意味で発展途上のメディアという感覚なのかもしれません。また、Facebookファンページについては、一部の特別な例をのぞいては、今のところ、あまり積極的に活用はなされていないようです。

 これは、感覚的な話で根拠はないのですが、国会議員よりも地方議員の方が、Facebookの積極的な利用者が多い印象があります。700人あまりの国会議員と数万人の地方議員を同列に比べることには、あまり意味がないかもしれませんが、議会によっては、かなりの数の議員がFacebokを利用していると感じることがあります。一般論ですが、個々の支持者の顔が、日常的にしっかり見えるところで活動している地方議員さんにFacebokは向いたソーシャルメディアなのかもしれません。

 本論文では、米国における議員のソーシャルメディアの活用状況について詳細なデータが紹介され、興味深い分析がおこなわれています。政治家のソーシャルメディア利用について関心のある方には、お薦めの論文です。

 国立国会図書館発行のレファレンスは、毎月発行され、国内外の政治的課題についてさまざまな視点から分析がなされた論文が多数掲載されています。無料で国立国会図書館のウェブサイトで読むことができます。時々、過去のものも含めて内容をチエックしていますが、いつも思わぬ発見がある調査論文集です。

ソーシャルメディアによる議員と市民とのコミュニケーション―電子議会の充実度に関する日米比較論― ソーシャルメディアによる議員と市民とのコミュニケーション―電子議会の充実度に関する日米比較論―