選挙の思い出・90年代の大学生と政治家との接点

再び、90年代後半の私が大学時代の話です。ふりかえってみるとこの頃、親族や近しい知人が政治家や政界関係者でない大学生が政治家と接点を持つことはとても難しい時代だったのではないかと思います。
私には、そういった親類縁者はありませんでした。大学で法学部政治学科に入学した動機のひとつは、政治学科に入れば政治家や政界と接点が持てると考えたからです。
入学前の政治学科に私がぼんやりと持っていたイメージは、政治好きな青年たちが全国から集っており、日夜、談論風発し天下国家について論じているようなところといったものでした。
現実の政治の世界とも密接に関係しており、現場の情報(例えば、新聞には載っていないような選挙の実際のやり方とか個人後援会の作り方などについて)を知れるのではとの淡い期待を持っていたことを覚えています。ともかく生の政治に触れたかった。それが私の大学進学の大きな動機でした。
大いなる勘違いなのですが、こうしたことを口に出して周囲の大人に相談したわけではないので誤解したまま進路を選んでしまったところがあります。もしかしたら、口に出していたら志望を変えろと言われていたかもしれませんが(笑)
もちろん、90年代後半の大学というのはこういったところではなく(昔から大学はそういう所ではないのですが)、入学してから私は途方に暮れたことを覚えています。ほとんどの同級生が私の政界オタク話に付き合ってくれず寂しい思いをしました。
先日書いた通り、入学後の早い段階で偶然、国会議員の事務所と選挙を通じて接点が持てそうになったのによくわからない形で糸が切れてしまった。中年になった今の私ならその程度の糸は自分で結び直すか、別の糸を求めに出るかするのですが、18歳の私にはそこまでの行動力はありませんでした。
自分の好きなことについてはべらべらとよく喋る割には、内向的で、決して社交的な性格ではない典型的なオタク気質の私は、どこか誰かが自分に道を開いてくれるのを待っているようなところがあって、そうした姿勢が原因で20代以降、様々な壁に突き当たることとなるのですが、この頃の私は、そんなことにはまるで気づいていませんでした。
さて、本題に戻ります。当時、地方の大学生が政治家と直接知り合いたいと思った場合どんな手段があったか。だいたい下記のような方法があったのではないかと思います。
1)誰かに紹介してもらう
2)事務所を調べて自分でアポを取って会いに行く
3)政党の県連に連絡取り紹介してもらう
4)地方議会を訪ねる
5)政治家と接点のあるサークルに入る(弁論部など)
※当時は、まだ、議員インターンシップや政党や議員、シンクタンク等が主催する一般向きの政治学校・塾は、ほぼ存在していませんでした(特定の地域では始まっていました)
1は、はじめに書いたように親族や知人に政治家に伝手がない場合は、多くの場合どうしようもないです。国会議員事務所でアルバイトをしていたり、今はもうあまりないと思いますが、書生として政治家の家に住み込みで入っている若者の中には、こうした紹介を受けている人がいました。
今思うと大学の先生に紹介してもらうという手はあったと思います。卒業後に社会人として様々な研究者の方とお付き合いする中で気づいたのですが、研究者の中には政治家と接点がある方がいます。また、元議員や元政治記者などが研究者に転身している例は多くあり、そういった伝手を活用するということはできたと思います。
2は、インターネットがない時代ですから、調べるのが少し大変ではありますが、電話帳を見れば国会議員の事務所は調べられたでしょう。大学生なら、先生のお考えが聞きたいんです!といった感じで熱意で押せば、なんとか面談がかなった可能性はあります。
3は、訪ねて行けば、そんな学生はまずいない時代ですので学生部を紹介してくれたり、学生党員になることをすすめられたりしていたのではないかと思います。ただ、政治家に個別につなぐことをしたかというとなんともいえない気はします。
4は、そもそも議会に大学生が訪ねてくるということは当時はまずなかったと思いますから(傍聴は別として)訪ねてこられても窓口となる議会事務局は個別の政治家を紹介するわけにはいかず困ったでしょうし、自治体の規模にもよるでしょうが、会派控室に飛び込み営業的に入っていくわけにもいかなかったと思います。
5は、そういったサークルが大学にある場合はよいですが、どちらかというと少数だと思います。私の記憶では、私が通っていた大学にはなかったのではないかと思います。
上記に書いた5つの方法は、現在の私だから思いつくこともありますが、ちゃんと考えれば当時でも思いついたのではないかと思います。
ですが、結局、私はこうした行動を大学の4年間でおこすことはありませんでした。なぜか、自然に何かが起こるを待ってしまった。ひとつには、総選挙がまたあるだろうと期待したということがありますし、上で触れた主体性のない性格が主な原因だと思います。いずれにせよ、なんとなく過ごしているうちに時が過ぎてしまいました。
そんな私が、なぜか大学卒業後に地元に帰ってから、議員インターンシップの運営に関わり、深く政治と接点を持つことになろうとはこの頃は考えもしませんでした。
本当は、今回は、議員インターンシップについて書くつもりだったのですが、前置きだけで長くなってしまいました。続きはまた改めて。