総理の辞め方 (PHP新書 535)

 著者は、大島理森自民党国会対策委員長(元官房副長官)の秘書出身の学者。最近は、時折、筆者のような秘書出身の学者という人がいて驚かされる。政治家の秘書という職業を色眼鏡で見ているわけではないのだけれども、どうしても票田を耕すのが仕事とのイメージがあり、政治評論家に転進する人は昔から多いが、学問の世界に秘書出身者が入っていくということを珍しく感じてしまう。


 さて、それはさておき、本書は戦後の歴代総理大臣の引き際、出処進退に注目して辞任のパターンを「美しき辞任」、「淡白な辞任」、「結果責任による辞任」、「未練ある辞任」「再起を目指した辞任」「流れに逆らえない辞任」の大きく6つに分けて類型化し分析していく。


 すでに歴代総理について一定の文献を読んで知識を深めている人にはものたりないだろうが、これから戦後の歴代総理大臣について理解を深めたい人には、歴代総理の来歴や辞任後の身の処し方を一通り簡単に知ることのできる本書を手ごろな一冊としてお奨めしたい。

総理の辞め方 (PHP新書)

総理の辞め方 (PHP新書)