一夜でわかる!「NPO」のつくり方 2009年04月18日 16:48

 ここ数年、団塊の世代の一斉退職を見越してか、あるいは多様な働き方を求める人々のニーズにこたえてか、NPOに参加する、NPOを設立する起業するといった内容の本の出版が続いています(AmazonNPOと検索した限りでは799冊の本がヒットしました。NPOと名のつく本が出版されるようになってから10年少々というところですから、まあ、多いと言っていいでしょう)。色々な本が出版されており、どの本を選んだらいいのか、選ぶ方の目的によってもちろん読むべき本は変わってくると思いますが、もし、NPOって最近よく聞くけどなんだろう。あるいは、参加してみたいなあというNPO初心者(?)の方にお薦め、買って損のないのはこの本ではないかと勝手に思っています 。


 一夜でわかるという表題の通り、NPOとはなにか、NPOをつくる(運営する)には、法人化の手順、役立つ資料などがコンパクトにまとまって紹介されています。単に法人化の手続きが書いてあるだけではなく、市民が公益活動に参加する意味やNPOを作ってからの運営の仕方のヒントまで、余すところ無く、一通りバランスよく抑えることができます。


 その後、読まれた方の関心や必要に応じてより専門性の高い新しい本を探す必要はもちろん出てくると思いますが、まず、はじめに読むの一冊としては最適の本だと思います。


 著者の加藤哲夫さんは、一般の知名度はそれほどではないかもしれませんが、NPOに関わる人の間では知らない人はいないといっていい人物です。加藤さんは、本書の他に「(2002)『市民の日本語―NPOの可能性とコミュニケーション』(ひつじ市民新書) ひつじ書房」という本も書いています。こちらの本では、NPOの活動には不可欠な「ファシリテーション」等について解説をされています。


 この他にNPO入門書として一般的なのは、「山内直人(1999、2004)『NPO入門』(日経文庫)」や「早瀬 昇 、松原 明(2004)『NPOがわかるQ&A 』(岩波ブックレット) 岩波書店」でしょうか。基本的な内容がしっかりしているのはもちろんのことですが、どちら値段も手ごろで、新書、ブックレット形式と版型も手軽なこともあってか大学生に聞いた話ではNPO論や非営利組織論の授業の教科書として使っている大学もあるようです。


 さらに入門書からもう一歩進んで、運営に関わるしっかりとした内容のものが読みたいという方には「澤村明(2006)『草の根NPO運営術』ひつじ書房」を推薦します。澤村先生の本は、以前のレビューにも書いたのですが、NPO法人になるか、もしくはNPO活動をはじめて、まさしく運営をこれからやっていこうという人には大変お薦めです。こういった内容のNPO関係の文献はこの後もあまり出ていないと思います。ニーズはあると思うのですが・・・


澤村明(2006)『草の根NPO運営術』ひつじ書房のレビュー
http://mixi.jp/view_item.pl?id=757124&reviewer_id=2650335


 後、ご参考までにですが、「(1998)NGO運営の基礎知識―市民活動のための実践ガイドブックA SEED JAPAN(編集), POWER (編集) アルク」 もNPOの運営には役立つ本です。今は、残念ながら絶版になってしまったようですが、NPOの運営について人材育成の方法や人集め、資金調達といったポイントを実践的に解説してある良書でした。そこそこ出回っていた印象がある本なので中古では手に入るかもしれません。


 う〜ん。ちょっと今日はまたいつもと違った文体でのレビューの書き方になってしまいました。なぜかまとめて本を紹介してしまっているし。一冊、一冊ちゃんと分けてレビューするべきでした。

一夜でわかる!「NPO」のつくり方

一夜でわかる!「NPO」のつくり方

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