「なごやボランティア・NPOセンター」への惜別の辞

 名古屋市の市民活動支援センター「なごやボランティア・NPOセンター」が、本日付で閉館します。

 私はなごやボランティア・NPOセンターの10年の歴史の内、開設からの6年を職員として歩みを共にしました。名古屋市直営時代の2年4ヶ月とぼらんぽセンター・コンソーシアム((特)ボランタリーネイバーズ・(特)ボラみみより情報局・(特)名古屋NGOセンター)による民営時代(指定管理)の3年8ヶ月、あわせて6年間なごやボランティア・NPOセンターに勤めました。2期目の指定管理のプロポーザルに敗れて退職することとなりましたが、20代の半ばをなごやボランティア・NPOセンター過ごしましたので、今、深い感慨を覚えています。

 なごやボランティア・NPOセンターは閉館となりますが、名古屋市の市民活動支援の役割は、新たにナディアパーク デザインセンタービル6階に開設される「市民活動推進センター」に引き継がれます。政令市にNPO法人の認証・認定の機能が移されることにともなって新設されるとのことなので、市民活動支援について施策の充実が図られることでしょう。市民活動推進センターは、指定管理による運営を取らず名古屋市直営の公共施設となりますが、市民活動の経験者を嘱託として雇用されるそうなので、市民活動の現場のニーズに寄り添った運営がおこなわれると思います。

 なごやボランティア・NPOセンターの開所の日の賑わい、その後の歩みを記憶する一人としては、閉館は純粋に淋しいことです。離れてから4年の月日が流れましたが、取り組んだ仕事のこと、多くの利用者さんとの出会い、さまざまな市民活動団体さんのこと、名古屋市や愛知県などの行政の皆さんや外郭団体の皆さんと協働したこと、そして何よりも共に運営にあたった仲間たちのこと。記憶は、どんなに頭に残そうと思っても自然に薄れていくものですが、それでもなごやボランティア・NPOセンターでの日々の多くは、今も脳裏にはっきりと焼き付いています。

 私は、人に誇れるようなことは何もしてこなかった人間です。誇るどころか、むしろ頭をひたすら垂れ詫びなければいけないことを重ねて来ました。今、こうして文章を綴っていることすらも恥じています。しかし、そんな私でもなごやボランティア・NPOセンターに勤めたことで、市民活動にそれぞれの立場で参加し、社会のため、人のためにあろうと行動する気骨ある人々と交わり、仕事をさせていただくことができました。そのことは、密かに誇りとするところです。

 ありがとう。なごやボランティア・NPOセンター。さようなら。なごやボランティア・NPOセンター。


なごやボランティア・NPOセンター 元副所長 青木研輔


「送友人」李白
青山 北郭に横たわり
白水 東城を遶る
此の地 一たび別れを爲し
孤蓬 萬里に征く
浮雲 遊子の意
落日 故人の情
手を揮って 茲自り去れば
蕭蕭として 班馬鳴く

※2012年3月31日脱稿