NHKラジオ第1のリズム

 朝からいつくか用事があり車で外にでかけました。ガソリンを入れたり、銀行にいったり、コンビニによったりと一通りの用事を済ませた後に手に入れたい資料があり区役所に立ち寄りました。ところが、GW明けの週末だったせいかとうかはわかりませんが、なぜか駐車場が大渋滞をおこしており、あきらめずに駐車場内をくるくる回って何とか停めようと粘ったのですが、ついに駐車場の中に入れないほど車が待っている間に増えてしまいました。こうした時、私は気が長い方で特にイライラすることもないのですが(しかし、ひょっとしたらそのせいで人をイライラさせていることはあるかもしれません。もし、あればこの場を借りてお詫びします。申し訳ありません。)、さすがにこれは今日は無理だなと思い、来週に行っても問題のない用件だったこともあり、あきらめて帰ることにしました。


 区役所から私が住むアパートまではせいぜい10分程度、車内で一人何をすることがあるわけでもありません。ラジオでも聞くかと思い立ちスイッチを入れました。いつもは、ZIP-FMを聞くことが多いのですが、たまたまあまり好みの曲がかかっていなかったので、久しぶりにAMのNHKラジオ第1をつけてみました。ちょうど「ふるさとラジオ」という番組が始まったところでした。NHKのラジオ第1のウェブサイトによると「ふるさとラジオ」という番組は、「ふるさと」の今をきめ細かく伝えます「ふるさとラジオ」、懐かしい日本の原風景と、そこで生きる人たちの息づかいをたっぷりと伝える番組であると紹介されています。


ふるさとラジオ
・ひるのいこい(午後0時20分から)
http://www.nhk.or.jp/r1/furusato/


 実は、私はこの番組には深い思い入れがあります。といいますのは、私の実家の食卓でかかっていたラジオはいつもNHKラジオ第1でした。特にこの番組の時間は、ちょうど昼食にあたり、夏休みなどの長期休暇で日中家にいる時には必ず自然に耳に入ってきました。番組構成は、主にお便りの紹介と音楽を中心としたものなのですが、例えば今日は水を張った田に映る山々の姿が美しい。そろそろ田植えの時期がきましたというようなお便りが紹介されていました。農村に育った者としては、懐かしさを感じずにはいられません。この番組を聴くだびに祖母や母が作ってくれた昼食の食卓の風景、おひたしや味噌汁、煮物などの匂いが鮮明に浮かびます。


 また、特に古関裕而の不朽の名曲に載せて、ふるさと通信員からのお便りを紹介する「ひるのいこい」というコーナーがすばらしい。主に地方で農業に取り組む農家の方々から送られてくるお便りが読まれるのですが、春夏秋冬の農家の営みが気持ちのこもった文章をアナウンサーが、NHK特有のメリハリの利いた、それでいて優しい口調で語りかえるように伝えてくれます。そんなラジオを聴きながら、ふと思い出した事があります。昔、ひきこもりの青年の自助グループの皆さんに自分たちの思いを綴ったニュースレターをいただいたことがありました。今も大事に手元に置いて保管させていただいています。そのニュースレター中の一説を引用させていただきます。少し長くなりますが、私の今の気持ちと大変重なる部分が多いのでご紹介します。「私も自営業とはいえ、若い社員との人間関係のトラブルを何度も体験して痛い目に遭いました。そんなとき私は、NHKラジオ放送の穏やかな語り口や豊田市の豊かな田園風景に癒されました」引用:加藤英昭(2008)「私は自分を知り社会を知り大人になる」『別冊日曜倶楽部2---若者の連帯を考える冊子---』(2008年3月2日)pp.15. 編集発行別冊日曜倶楽部編集委員会


 さて、今日は夜に仕事の打ち合わせが一つ入っていますが、それ以外の予定はありません。まだ、午後の時間はたっぷりあります。雨はもう止んだようですから、雨の音を楽しみながらとはいきませんが、晴耕雨読の時間に入りたいと思います。今日は少し郷愁に浸ってしまいました。静謐な時間は何物にも変えがたい、そう感じる日々です。