「【赤木智弘の眼光紙背】ネット選挙運動の解禁に反対する」を読んで

Facebookに投稿した文章を加筆修正し投稿しています。


 私は、インターネット選挙運動解禁については、賛成の立場ですが、赤木さんの危惧にはもっともな点も多いと感じます。赤木さんの指摘にあるインターネット選挙運動解禁することで、インターネットを通じた誹謗中傷合戦のような現象は必ずおこると思います。現在でも選挙の現場では、誹謗中傷合戦がおこなわれることはあり、インターネット選挙運動の解禁が、さらに誹謗中傷を助長する可能性は十分にあります。

 しかし、私は、そうした現象は民主主義のコストであると考えます。例えば、排外主義や人種差別的な言葉は現在でもインターネット上にはあふれていますし、私は、そうした言葉に触れると大変嫌な気分になり、憤りを感じます。言論の自由の大切さは十分認識しているつもりでも、できれば、こんな発言をする人は取り締まってしまえばいいのにと思うこともあります。ただ、そうした言葉に触れたからといって、すべての日本人が排外主義や人種差別に染まっいるのでしょうか。私は違うと思います。

 もちろん、影響を受けそうした考えをとってしまうようになる人はいますが、逆にそのような社会問題が現実にあることを知り、差別を解消する行動を起こす人もいます(例えば、インターネット上でそうした言葉を発している方と討論することも一つの行動です)。あるいは、自分はそうはならないでおこうと決心する人もいるかもしれません。こうした現象は、インターネットがあるからこそ生まれるよい効果ではないかと考えます。

 甘いかもしれませんが、政治・選挙についても私は、インターネット選挙運動を解禁することで、そうした行動が広くおこってくるだろうと期待しています。選挙期間中、インターネット上でさまざまな形で、できるだけ自由に情報発信がおこなわれ、それを材料にさまざまな立場の人が、選挙について自由に議論をしたり、考えたりする。その過程を通じて、大げさかもしれませんが、この国の民主主義はより強固なものになっていくのではないかと考えています。

 赤木さんのような著名な方は、誹謗中傷の対象になる可能性もありますし、あまり見たくもない言葉をたくさん送り付けられるリスクはあると思います。それを民主主義のコストであるから我慢してくださいとお願いすることはできません。しかし、上記のような考え方もできるのではないかということも知っていただけたらと思い、この文章を書きました(残念ですが、赤木さんが私の文章を読まれる可能性はほとんどないでしょうが)。

 最後に余計な付け足しかもしれませんが、現在でも公選法の規定内において一定の条件の元で選挙期間中に郵便箱(公選ハガキ等)や電話(投票依頼も含め何をしゃべるのも基本的に可能)にアクセスすることはできます。また、現在、提出されているインターネット選挙運動解禁に関する法案では、優良広告について自民党案は禁止、みんなの党案は条件付きで認めるとなっています。デマ等についてプロバイダに削除を求めることのできる条項も入っています。今後、審議入すれば法の中身は変わってくると思いますが、現在の法案の内容を前提とする限り、必ずしも何ら制限のないアナーキーな状態になるということはないと考えます。

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