公人について

※以下は、ツイッターに投稿した文章を加筆修正しまとめたものです。


 公人という言葉の意味について考えてみたい。

 私は、公人とは、公​の権力を行使できる立場にある人を指す言葉だと単純に捉えてきた​。しかし、どうも最近、意味が変わったらしい?言葉の意味が時代​ともに変わることはよくある。私が浮き世離れした生き方をしてい​るうちに公人という言葉の意味が変わったのだろうか。

 大辞林 第三版の解説によると公人とは、「議員や公務員など,公務につい​ている人。その立場で行動や発言をする場合に,私人に対していう​。 ↔ 私人 「−として発言する」」 と定義されている。

 また、同じく、大辞林 第三版の解説によると公務とは、「こうむ【公務】 おおやけの仕事。国家や公共団体の仕事。」と定義され​ている。

 大辞林が、世界の真理を全て定義しているとは、言わないが、少な​くとも公人についての定義は、一般的に普及している辞書において私の考えとそう変わらないというこ​とは確認できた。議員や公務員が公務をおこなうということは、法​に則り権力を行使するということであり、その立場が国会議員であれ地​方公務員であれ本質的には変わらない。

 繰り返しになるが、前述のような立場にある人々を公人というのだと​私は考える。しかし、最近、インターネット上に散見する公人という言葉の使​い方は、私の考えとは大きくずれがある。

 例えば、芸人をテレビに​出て有名であるから公人であると「公人の立場」にある方が、定義​し発言されている記事を目にした。あるいは、先日、Twitterで国政選挙に一度出馬され落選し​現在は政治活動をおこなっていない人物に対して、あなたは一度選​挙に出たのだから一生公人として扱われるという論理を用いて激しい批難​を浴びせいている人々を見た。両者は、私の考えでは、もちろん公​人ではない。

 あえていうなら、彼らは私人として一定の影響力を持つ人と定義するのが​妥当ではないか。ただ、個人名はここでは出さないが、今、例に出​したお二人は、国民が誰でも知っていて強い影響力を行使できる人​物ではない。あるいはフィクサーと呼ばれるような類の人種でもない。影響力について定量的に根拠を示せと言われると困るが、まあ、少し​顔が売れているというレベルだと思う。そもそも、公人の定義に社会的な影響力の強弱はまったく関係ないことはいうまでもない。

 お二人を例に出したことは、揶揄するためではなく、たまたま私の目に彼らを取り上げた記事等が目に入っただけであり、もちろん他意はない。

 話を元​に戻したい、先ほど例に出したような有名だから、選挙に出馬したことがあるから「公人」であるという公人の捉え方、用い方​は一般的になのだろうか。ここまで述べてきたとおり、私の考えと​は明らかに違う用法なのだが、いつのまにか社会が変わったのだろうか。​だとすれば、時の流れは早くなったものだ。