仕事の書類ばかり作っているとまったく仕事に関係のないことを書きたくなります。先日、Twitterでたまたま目にした東京都立大学准教授の佐藤信さんの文章を読みながら、政治家と一般の市民の距離感・コミュニケーションや政策が形成される空間、投票行動に影響を与えている要素といったことについて考えていました。
選挙巧者と言われる政治家ほどこの自分を印象付ける接触の重要性を理解して普段から行動していると思います。佐藤さんが触れている握手が典型ですが、そうした多くの人が気恥ずかしく感じる行動を普段から取れる方ほど選挙に強いと思います。
私が若い頃に出会った政治家の中には、選挙とまったくかかわりのない時期に会っても必ず握手をしてから分かれる人がいたことを思い出します。その時はなぜこんなことをするのかなと思っていましたが、年を重ねてから、あの政治家の握手は力強く真心がこもっていて素晴らしかったと語る人に出会って、なるほど効果があるのだなと認識をあらためました。
まったく科学的でも論理的でもない話と感じる方も多いと思いますが、こうしたことを日常的に積み重ねることに苦痛を覚えない人が生き残る世界なのだと思います。
人間関係にある種の割りきりをもてない人は、政治家には向かないとも思います。自分の思った通りに相手が反応しないからいちいち傷ついていたのでは務まらない仕事と言うと言いすぎかもしれませんが、選挙においては特にこうした性格が求められると思います。
また、一つひとつ行動の効果を論理的に検証したくなる人やあまり個々人との関係性に誠実に拘り過ぎる人は少なくとも選挙というフィールドには向いていないでしょう。
選挙に際しては馬鹿にならないといけない。自分は、選挙マシーンになる。選挙に関わる人に期待される行動をとる。すべて私が実際に耳にした政治家の発言です。皆さんはどんな印象を持たれるでしょうか。私も彼らと同じように考えている所があり、彼らのことを責める気にはなれません。政治や選挙に質を求める人にはおそらく批判されるでしょうが。
一方でこうした世界になじむことができずに去っていった政治家たちの姿も脳裏をよぎります。一抹の寂しさを覚えながらも、それぞれの選択であってどちらが正しいということではないと思います。
いずれにしてもこうした言葉が、今も現場では飛び交っているのだろうなと想像しながら、次の仕事の準備に入ることにします。佐藤さんの文章をあまり関係のない内容になってしまいましたが、とても面白い内容ですので政治や選挙に関心のある方は、ぜひ、目を通されることをおすすめします。