公選はがき

 公選はがきとは、公職選挙法の規定に基づき、公職の候補者が無料で差し出すことができる通常はがきのことです。選挙運動用ハガキとか選挙運動用通常はがき(正式名称はこれのようです)と呼ばれることもあります。定められた枚数の範囲内で無料で郵送することができます。郵便事業会社が用意するはがきを使って差し出す場合ははがき代も無料になりますが、私製はがきを使用する場合のはがき代は候補者の自己負担になります。官製のはがきをいただけるのは、立候補届出後(告示日)のため一般的には私製はがきを使用することがほとんどだと思います。


 各選挙ごとの配付可能枚数は、こちらから。


●【選挙ナビ】 選挙運動用通常葉書について
http://senkyo-navi.com/hagaki.html


 公選はがきの実物の画像はこちらから。


●公選はがき - Google 検索
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&lr=lang_ja&um=1&sa=1&q=%E5%85%AC%E9%81%B8%E3%81%AF%E3%81%8C%E3%81%8D&aq=f&oq=&start=0


 はがきの大きさは、長辺14cm〜15.4cm以内、短辺は9cm〜10.7cm以内の長方形の紙と定められていますが、はがきの記載内容については特に定めがないため、色んな内容、デザインのものがあります。政策やスローガン、簡単な候補者の履歴、投票依頼などなんでも載せることができます。


 実例をご覧いただけば一目瞭然ですが、公選はがきとは、簡単にいうと候補者の顔写真や名前が印刷されたポストカードのことといっていいと思います。先日のエントリーで紹介した選挙公報のように全戸に配られるものではなく、候補者ごとに限られた枚数を選挙中に郵便局を通じて郵送するものですので流通する枚数が限られています。ですから、一度も見たことがないという方もいらっしゃるかもしれません。政治家やその関係者とかかわりの深い方のもとには、複数の候補者から届くという話も聞いた事がありますが、あまり一般的なものではないのかもしれません。


 公選はがきがややこしいのは、差し出すのはあくまで候補者なのだけれども推薦状の形式をとってもよいとされていること。色んな使い方をされている陣営があると思いますが、大抵ははがきの表面に推薦者の氏名を書く欄を設けておいて、推薦者に自分の氏名と選挙区内の友人、知人(候補者を紹介してもよい方)の住所をはがきに書いてきて事務所に持ってきてもらうというやり方をとっていると思います。あくまで差し出すの候補者のため、宛名書きをお願いした推薦者が勝手にポストに入れてしまったり、無差別に配ってしまったり(公選はがきをポスティングしてきた剛の者が別陣営にはいたという噂を聞いたことが以前ありますが、これは明確に選挙違反です)してしまうといけないので、その点にはどの事務所も気を使って注意しているのではないでしょうか。宛先の欄や推薦者の欄に電話番号を記載できる欄を作って書いてもらう後で電話がけにつかったり、一言メッセージを添えることのできる欄を設けたりする工夫をしているはがきを見ることも多いです。最近では、はがきの表面にむき出しで住所や名前、連絡先を書かれること自体を嫌がる人も増えてきています。個人の意識の変化に合わせて選挙活動も個人情報保護対策についての工夫が必要になってきているのかもしれません。工夫するにもコストがかかるのでしんどい部分は正直あるのですが・・・


 公選はがきは、一般にあまりなじみのない仕組みだということもあって支援者への説明が難しいものの一つです。仕組み自体がややこしいということはもちろん(自分では出せないはかきであることなど)。多くの候補者は、後援会組織を作っていますから、支援者の方には当然後援会入会の申し込みを書いていただいたり人を紹介してもらっていると思います。一度お手間をとらせて、さらに色んな形でお骨折りいただいている皆さんに政治活動と選挙運動はあくまで別個のものとはいえ、もう一度、はがきを書いていただく(人を紹介していただく)ようお願いするというのは、精神的なプレッシャーがかかる作業であり、そもそも頼みにくいということもあると思います。特に組織のない候補者にとっては、数千枚から数万枚のはがきの宛先を入手し発送するという作業は大変手間のかかるものであり(重複をのぞくなど)、選対事務局泣かせの制度であるともいえます。


 公選はがきに関する事務作業の苦労についてはこちらのブログでわかりやすく紹介されています。


●カルタ取りの夜は更けて・・・ - 選挙は現場で起きてるんだっ! - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kou1000hou/6927740.html


 公選はがきという制度が出来た経緯については確認することができませんでしたが、無料ということから考えて、元々は、資金力の多寡にかかわず立候補者自らがが政治理念、政策を広く有権者に伝えることができるように作られた仕組みなではないかと思います。私製はがきでなく郵便事業会社が発行するはがきの交付をうけて送るという仕組みの説明(誰も実際には利用していない)がしっかり立候補者説明会等でなされることからも大筋誤った推測ではないと思います。しかし、実際は立候補者自らがはがきを書いて送っていることなどまずないでしょう。選挙期間中、自由に配付することができないチラシ(このことも問題ですが)の代わりに配付できる資料として用いられている節もあります。ひょっとしたら通信網が今ほど発達していなかった時代には、はがきのやり取りが立候補者について伝える有効な手段だったのかもしれませんが、はがきという媒体の現代社会における有用性についても議論があると思います。


 公選はがきは、あれはだめこれはだめとやたらめったら制限があって何もできない公職選挙法にあって、使用が認められている数少ないツールなのでこれさえもなくなると選挙運動でやれることがまた一つなくなってこまりますが、どうせ税金でまかなうのであれば、公営の公開討論会を多数開催するであるとか、もう少し選挙が政策を問う場になるような仕組みにこそ税金を使うべきではないかと考えます。


 公職選挙法1940年体制の一部だとおっしゃる方もありますが、一連の選挙についてのエントリーを書くために色々と自分なりに整理したり情報収集をしていて、本当にその通りだなと。ありとあらゆることに制限をうけながらなんと非生産的な活動をしてきたのだとちょっと虚しい気分に駆られました。こういう状況だから選挙が一部マニアやら業者、政界関係者のものになってしまうのではないかと。まあ、私もそのマニアの一人で選挙の秘儀とか秘密めいた知識とか体験を得るとうれしし、何か得した気分になるので、本当に選挙が透明化されて誰もが参加できるようになると面白くないなとちょっと心の奥底では思っていたりもしますから、あんまり人のことを批判できないかもしれないですけど(笑)


 公選はがきについては、やはり立候補者の皆さんそれぞれご苦労されているようで、私が読んで面白かったエントリー等をご紹介します。


●2-10 物のつかい方(2)・ハガキ - 江田五月 新たな出発
http://www.eda-jp.com/yukawa/senkyo/2-10.html


●選挙郵便のご案内 - 日本郵便
http://www.post.japanpost.jp/service/vote/index.html


●【2月8日(月)】 今回も「選挙運動用ハガキ」で悪戦苦闘 - 藤岡和美(フジさん)’s Life
http://blog.goo.ne.jp/kazu_fujioka_goo/e/44c72b6fd40030f996e32a50aa6704f9


函館市議会議員◎三遊亭洋楽の議員活動報告ブログ 2008年1月
http://yooraku.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/index.html


●手書きDMの効用 - パチンコ日報
http://blog.goo.ne.jp/tetorayade7511/e/35a81b553aa44474bd69b506c328547c


●手作り選挙奮闘記(ハガキ編):政治家フジノ35才「おれをこきつかえ!」活動日記:So-netブログ
http://hide-fujino.blog.so-net.ne.jp/2007-04-12-1


●NPOWEB - NPO法人の理事が、個人として特定の公職選挙の候補者の推薦人となり、公選ハガキに「○野○子(NPO法人○○理事長)」と名を連ねることはできますか。
http://www.npoweb.jp/modules/faq/index.php?content_id=48


参院選あと2日  活動報告バックナンバー
http://izumi.seikatsusha.net/back/item/1145186773/1185453458.html


人気ブログランキングへ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ ブログ王でアクセスアップ!! BS blog Ranking