陛下の御質問―昭和天皇と戦後政治

　文庫の帯のあおりには「なぜ今、皇室は言葉を失ったのか−」とかなり重たいことが書いてあるのだが、私は、もう少し軽い気持ちで本書を手に取り、昭和天皇のツッコミ力について書いた本との認識で読んだ。昭和天皇の「人間性」。寸鉄釘を刺すような厳しい面、あるいは暖かい思いやりに満ちた面などを折々のツッコミを通じて知ることができる。また、「昭和」の皇室や皇室を取り巻く人々の雰囲気を感じることもできる。一読すれば、平成の御世とはずいぶん違うということがわかる。世は移ろっていくのだなあと感じずにはおれなかった。

陛下の御質問―昭和天皇と戦後政治 (文春文庫)