変わっていてほしかった地方議会

 私は、もう少し若かった頃に地方議会の傍聴に定期的に出かけたり、議事録をしっかり読み込んでいた時期があります。当時は、今ほど議会改革ということは言われていなかった時代で、正直なところ地方議会に目を向ける市民は少なく、私の知る限りでは研究者の間でも取り上げられることはあまりなかったと記憶しています。ある議会の傍聴席で1人で傍聴していたところ思わず寝てしまい半日傍聴席で過ごしてしまったことがありましたが、誰にも見咎められることはありませんでした。そんな注目がなされない地方議会でも、使命感や責任感を持ちしっかりとした目的意識のある質問を入念な下調べをおこなってされている議員さんもいました。残念なことに、ちょっと絶望的な気分になるほど何のためにしているのかわからない質問をしたり、誰も見ていないのをいいことに(?)市当局を恫喝するような言葉を吐いたりしている議員さんを見かけることもありましたが。


 さて、時代は流れ平成の世も20年を越えました。最近では、国の議院内閣制と違い地方自治体では、首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶことから、二元代表制をとっているという考えが普及しつつあります。これは、首長、議会がともに選挙で選ばれ住民を代表していることから、各々が一定の緊張感を持ちながら地方自治体の運営を決定していくということが理想であるということですが、こうした視点が生まれたことで地方議会の役割が注目されるようになりました。二元代表制の理想の実現に辺り、多くの地方議会で議会基本条例を制定されたり、一般質問の形式を一問一答(国会の委員会質疑と同じような形です)にあらためるなど色々な形で改革がおこなわれています。そんな話を時折新聞等でみかける度に、私が見ていたころとずいぶん地方議会のあり方も変わってきたなと感じていました。


 しかし、最近あるまちの議会の議事録を集中的に読んで大変な失望を覚えました。そのまちでは、一問一答形式をある意味悪用し、複数の議員が支離滅裂な恫喝的な質問を繰り返したり、暴言と言っていいような台詞を議場で吐いています(議事録は恒久的に残る者であるということを彼らは意識しないのでしょうか?)。何だ、結局何も変わっていないじゃないか。先進事例を聞きかじって、自分が勘違いしていただけで多くの議会は変わっていないんじゃないかと正直、幻滅しそうになりました。しかし、あくまで議事録は議事録。文字だけでは雰囲気はわかりません。一度、実際にその議会を見てこようかと思っています。タイミングのいいことに、ちょうど6月議会がもうすぐはじまります。


 生の政治にふれることは、正直なところずっと避けてきたのですが、最近、少し心変わりし始めています。まだ、再起動したとはいいませんが、歩みを前にすすめたいと考えています。