大家清二のペンネームで1995年に私の人生を変えた書『経世会死闘の七十日 』講談社を書いた著者の体験的政治家論。テレビで観る時の筆者のコメントには、正直なところ素直に首をふれないときもあるのですが、やはり腰を落ち着けて思考をまとめて書いた本は相変わらず破壊力があります。筆者は、瞬発力で勝負するテレビメディアよりも昔ながらの活字メディアで勝負してほしいと思うのは私だけでしょうか。
1950年生まれの時事通信社の記者、まだ、色濃く派閥記者のシステムが残っていた時代に田中派、経世会(竹下派)を担当し、小沢一郎に刎頚の交わりといえるほどの食い込んでいた筆者が、最後には小沢と袂をわかって、オフレコのメモを公表するに至るまでの経緯がはじめて紹介されています。また、小沢以外に筆者が取材を通じてふれあった、田中角栄、竹下登、金丸信、梶山静六、橋本龍太郎、小渕恵三、小泉純一郎、麻生太郎の人物評もおこなっており、この部分は、一級の人物月旦、政治家評論です。政治評論に携わる人は必読の文献といっていいと感じました。
政治において人かシステムのどちらを重視するという問いに筆者は「人」と書いていますが、この点は、私も同感です。どんな器を用意したとしてもその中で政治をおこなうのは、人であり、どこまで行っても、その人物器量を超える政治がおこなえるはずがないのですから。
- 作者: 田崎史郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/03
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