オクシデンタリズム、「敵」によって描かれる描かれる非人間的な西洋像、「殺人的な憎悪」という聞きなれない言葉を使って世界の各地にある反西洋思想ともいえる筆者たちのいうところの「偏見」の数々に検討を加え、その歴史的ルーツをたどったユニークな書物。本来なら大部な単行本で出版されていてもおかしくないテーマだが、新書という手に取りやすい形態で出版されていることも個人的には興味深く、また、懐具合の寂しい者にはありがたかった(笑)
紙幅に制限があるためか個々の思想については、簡単にしかふれられていないが、戦中の日本の「近代の超克」座談会からイスラムの思想まで幅広く、西洋的な者に相対する(敵対する)思想が取り上げられており興味深い書となっている。

- 作者: イアン・ブルマ,アヴィシャイ・マルガリート,堀田江理
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/15
- メディア: 新書
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