書店に立ち寄り感じたこと

 今日、食品の買いに出かけたついでに立ち寄った書店での出来事。お目当ては、雑誌「諸君」の最終号と某ジャーナリストの新刊新書。どちらも店頭をざっと見た限りでは、見当たらなかったので店員に尋ねたところ、20代の若い店員は「諸君!」を知らなかった。

諸君 ! 2009年 06月号 [雑誌]

諸君 ! 2009年 06月号 [雑誌]

 無理もない、若い世代が総合誌を読まなくなったと言われだしてから久しい。総合誌の主な購買層は65歳以上の高齢者だとの話もよく聞く。書店員が知らないくらいだから休刊になるのも当たり前なのかもしれない。別に特段の思い入れがある雑誌ではなく、最終号だから買っておきたかっただけなので買えなければそれはそれでいいと思いながら、雑誌を探しに行ってくれた店員の帰りをレジで待っていた。案の定、店頭には在庫がなかった。さらに店長が、店内在庫の管理システムをつかってPCで調べてくれたが、やはり売れてしまってないとのこと。残念だが仕方ないAmazonで購入(今確認したらAmazonにも在庫がなかった最終号だからあっという間に売れてしまったのか?いつもは、失礼ながらあんなに売れ残っていたのに。)するかと思い一旦家に帰りかけたが、ふと思い出して某ジャーナリストの新刊新書の在庫の有無も問い合わせてみた。


 びっくりしたことに、店長は某ジャーナリストのことも、その新書が発売される時期も知らなかった。そのジャーナリストはここ数年で売れてきた人物で、たまたま店長は知らなかっただけなのかもしれない。ただ、いくら新人に近いジャーナリストとはいっても一定以上の販売が見込める実績のある人物で、これを知らないというのは、例えばジャンルは違うが純文学で言うなら「綿矢りさ」や「金原ひとみ」を書店員が知らないようなもので、ちょっとこれはないだろうと感じた。 実は、私自身が新聞広告で新書の情報を見たときに正確に発売されるレーベルを記憶していなかったため、店長を混乱させてしまった。そういう事情で非は私の側にもあった。しかし、メジャーな新書レーベルの発売日を新書の奥付や新刊書籍リストを見ないと正確に思い出せないというのはいかがなものかと思った。結局、最終的には新書の発売日は20日(実際には、1週間程度前に店頭には並ぶ)で、まだ入荷されておらず入荷は明日になるということがわかった。


 別に私は腹を立てているわけではない。元々、気は長いほうで腹を立てるということも怒ることも私はあまりしない人間だ(先日も書いたかもしれないが、そのことが人をいらだたせているとしたら申し訳ない)。今回のことも特に不快に感じたわけではないのだが、記録として日記に残したくなった理由は、現在の書店員の人材育成のシステムがどうなっているのかが気になったからだ。今は、その時間はないが、いずれきちんと調べてみたいと思う。私は書店員というのはバイトであれ正社員であれ本に愛着のある人がなっていると正直思い込んでいた、今日対応にあたってくれた店長は、50前後ぐらいの男性の方だったが対応自体は本当に真剣にしてくれた。ただ、基礎的な知識を欠いているのではとの疑問を覚えずはいられなかった。


 私は書店員でもなんでもないが、政治経済に関わる書籍、社会科学(政治学が主)の研究書、ビジネス書の一部、漫画、ライトノベル、小説(好きな作家のもののみ)、総合誌などについては、毎月、どんな新刊書籍が出版されるか一定は把握している自信がある。それは、日常的にインターネットの書評サイトを通じて情報を収集したり、Amazon等のウェブ書店のおすすめ書籍や新聞(今は日経新聞のみ)と一部週刊誌(立ち読みが主)、総合誌不定期に購読)の書評欄や広告から手に入る情報を総合して頭の中で常に整理をしているからだ。


 例えば私が書店員だったらどんな働き方をするだろう。おそらく、誰に言われなくてもどんな本が売れ筋かの流れは読みつつも、本当にお客さんに書店の側から届けたい本を届ける棚をどういう風にに創るか(できれば政治経済のジャンルを任されたい)、嬉々として自分で考えてアイデアを出しながら取り組むと思う。今回の諸君!の最終号の件でも私なら今回のチャンスととって、保守論壇の本を組み合わせてお客さんが一目見てこの雑誌の40年を追うことができ、日本の論壇での議論の変遷にふれてもらえる棚創り企画をすると思う。もちろん売れないと意味がないので、そのあたりの戦略は建てる事ができる専門性を持っていないといけないのだろうが、書店員というのはそうした専門性を当然培っているものだと思っていた。もちろん、経営という者があるから本当は作りたくない、特定の団体の書籍を集めた棚を設けざるをえなかったりすることはあるかもしれない。でもそういうことをやらざるをえなくても、お客さんが本当に求めている必要な本に手が届くような書店創り、棚作りを真剣に考えてやる仕事なんじゃないのとの疑問を今日は、禁じえなかった。


 でも、ここまで気合の入ったいい本屋さんには、最近出会わなくなったなあと改めて思う。こうやってえらそうに色々といった私も最近は書店で本を直接買うことは少なくなり、インターネットでの購入が主になっていた。本屋も客商売、接客業だと私は思う。私もずっと客商売をやってきて思うのだが、お客さんが育ててくれる。そういう面が接客業には強くある。今日、私はもっと店長に食い下がって彼を鍛えるべきだったのかもしれない。でもそんなことをするとすぐクレーマー扱いされる世の中なんだよなあ。実際にはできんよなあ(笑)