人ったらし (文春新書 597)

 亀和田武さんのことは、この本を読んで初めて知りました。テレビにはよく出ている方らしいのですが、私の家にはテレビはなく、まったく知りませんでした。失礼しました。ただ、それゆえに先入観なく読むことができてかえって楽しめた気がします。


 さて、本書は、会った瞬間に人に影響を与える、一緒にいるだけで楽しい、どうしようもない部分もあるけど好きになってしまう、そんな人ったらしの才のある人々を魅力的に紹介します。


 アントニオ猪木クヒオ大佐エリザベス女王の双子の妹の息子というよくわからん肩書きの詐欺師(笑))、色川武大吉行淳之介川上宗薫梨本勝吉本隆明などが取り上げられます。私の世代では名前ぐらいしか聞いたことのない方も多いのですが、どなたもそれぞれ違った魅力がある方でした。


 少し横道に話はそれるのですが、亀和田さんは、人間をよくみているなあと感じるくだりが本書の随所にみられました。例えば、男はわかれた女のことをぐちゅぐちゅ思い出すという話が紹介されていますが、これはまったくその通り。私の周りにもそういう男はたくさんいます。そして女性はすっぱり別れた男のことは忘れる。ひきずらない。もちろん例外は常にあるのでしょうが、これはよくあたっていると感じました。


 人間をみて色々と論じる。人間を考えるというのが、これが一番面白い。本書を読んであらためてそう感じました。亀和田さん類書を書いているならぜひ、そちらも読んでみたいと思います。

人ったらし (文春新書)

人ったらし (文春新書)