諸君! 2009年04月21日 06:36

 いよいよ来月で休刊ということで、普段は滅多に手に取らない諸君!2009年5月号を久しぶりに購入してみた。


 購入理由はもう一つあって、宮崎哲弥さんが櫻井よしこさんと櫻田淳さんの対談「麻生太郎よ、保守の気骨をみせてくれ」が掲載されていただことだ。宮崎さんの討論の司会者としての腕をみたかった。宮崎さんは数度、朝まで生テレビの司会者を務めたそうだが、そのときの取り回しが非常にうまく大変評判だったという噂を耳にしていたので前々から、機会があればぜひみたいと思っていた。


 さて、噂にたがわず宮崎さんの司会の腕は見事だった。櫻井よしこさんと櫻田淳さんの議論は終始かみ合わなかったが、それでも対談がばらばらになってしまわないよう、うまく論点をまとめながら進行役を務めていた。そうした宮崎さんの議論の交通整理のおかげで、この対談は、一定、保守とはそもそも何かということの議論を深まめることに役立つものとなったと思う。


 対談の中で、保守とはそもそも寛容なものだという意味合いのことを櫻田さんが言っていたと記憶しているが、私も同感だ。最近の保守は幅が狭いというか姿勢に余裕がないように感じる。一応、保守的な考えを持っていると自認する私だが、論壇人であったら私も櫻田さんのようにお前は左だというようなレッテルを貼られているだろう。もっとも、もはや自分は何々派だとか何々主義だとか自分で表明することに意味のある時代ではないだろう。そもそも、自分から何々主義派などと名乗って歩くことは恥ずかしいとことだと個人的には思う。


 諸君は、創刊時から基本的には保守系論壇人が寄稿する、「正論」と並ぶ総合誌だったが、かっては、浅田彰山口二郎大塚英志といった保守派ではない人々も多く寄稿していたと記憶している。最近はどうだったのかはわからないが、今号の櫻井、櫻田対談のように考えが違うものどうしが意見を戦わすことができるプラットフォームとしての本誌がなくなってしまうことは残念に思う。


 今号では、前述の対談の他には、タレント知事の強みの源泉を論じた兵庫県立大学準教授中野雅至さんの『お笑い芸人が総理になる日』、チベット共産党員へ取材したルポライターの田中奈美さんの『ラサ騒乱一年チベット共産党員がいま考えていること』が興味深かった。

諸君 ! 2009年 05月号 [雑誌]

諸君 ! 2009年 05月号 [雑誌]