緊急発売!負けた。9.11総選挙 2009年04月19日 13:09

 アイデア勝ちですね。参りました。誰もが思いつきそうで思いつかなかった出版企画ですね。選挙に負けた候補者達の主張をアンケートで集めて選挙ポスターと一緒に掲載し、一冊の本にまとめてしまうという本。しかも2005年郵政解散の際にこの企画を通すとは時流を見事(?)に読んだ編集者がいるものですね(笑)


 すべての落選候補者にアンケートをかけたのかどうかは記載がないのですが、回答した候補者は31名、2005年総選挙の落選者数は500名程度いるはずですから、回答は多いといえないですが、9月11日におこなわれた総選挙後の敗戦処理に忙しい中、文字数や体裁は回答者の自由であったとはいえ8ページ分の質問に回答しているというのは、主義主張の妥当性はともかくとして、政治に対して強い想いをもっている候補者たちだといっていいと思います。捲土重来を期しているのではないでしょうか。


 本書の出版の目的は、負けた候補者にも投票した人は多くおり、負けた候補者であっても発言する機会を提供したいということにあったとのこと。また、選挙の熱が冷めないうちに世に出したいといこともあり11月3日に出版しています。10月の早い時期には校了しないとこのタイミングでは出版できなかったはずですから、調査の回収作業は困難だったはずです。政治には関心のない20代の若者が、落選候補者への取材依頼等出版の作業にはあたったとのことで、そうした意味でも意義深い出版企画であったようです。


 レビューを書くために落選候補者の正確な数を調べようとしたところなかなかデータを見つけることができませんでした。私の探し方が悪かったせいかもしれませんが、落選候補者があまり取り上げられることがなく、その存在がやはり忘れ去られていくのだという思いを強く感じました。


 この本が売れたのかどうかはわかりませんが、総選挙後に出版されていた83会の本(83会(2006)『UBUDAS(うぶだす) 自民党1年生議員 83会 代議士名鑑』メディアファクトリ)よりは売れていて欲しいです。ちなみにUBUDAS(うぶだす)は、Amazonで中古で1円で購入できます(09/4/19時点)。こちらも買おうかな(笑)


 後、どんどん本書のレビューからは離れて横道に話はそれますが、83会でAmazonで検索をかけたところ、海外駐在サラリーマン83人会(2007)『世界のニッポン人―信じられない常識・非常識』二見書房という本が見つかりました。2007年に出版されているところをみると真似したんだろうなあ。どんな本なんだろう・・・ちなみにこちらも中古で1円でした。これも気になるなあ。でも今月は節約しないといけないので購入は我慢します。


 本書に類似の出版物を他に探すとすれば、真面目な研究書として、今は、熊本県知事になられた元東大教授のの蒲島郁夫先生が出された「東大法・蒲島郁夫ゼミ(2002)『選挙ポスターの研究』木鐸社」が怒られるかもしれませんが思い浮かびました。しかし、これはあくまでポスター(この本には、資料としてオールカラーで685枚のポスターが掲載されています。10,500円と大変お値段が張るのでなかなか手が出ませんが、たまたま書店で手に取ったことはあります。ポスターの集合体は、ものすごい迫力でした)のみを研究対象としており、候補者個々の政策(もちろん落選候補者も含む)を聞いた物ではありませんでした。


 レビューを書くためにAmazonで色々と調べていたところ、内容は詳しくはわかりませんが、過去に国民政治研究会から「沖野安春 (編集)河野淑 (編集)(1977年)『第34回総選挙個人ビラ300選』」という本が出ているようです。これは類似の書籍かもしれませんが、今のところ本書は稀有な出版物と言い切ってよさそうです。


 しかも今となっては出版社がライブドアパブリッシングというところが、何というか皮肉が効いている。そして、ホリエモンは回答していないというのはなんとも・・・そもそも調査をかけたかどうかわからないですけど(笑)

緊急発売!負けた。9.11総選挙

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