SIGHT(サイト) 2009年04月15日 00:36

 私がいうまでもなく総合誌冬の時代です。出版界全体が不況の波に飲まれる中、次々に総合誌は次々と休刊に追い込まれています。「論座」「現代」「諸君」次はどこだろうかとつい考えてしまいます。そうそう名門「中央公論」も休刊になるという記事(誤報でした。最もそれ以前にに買収はされましたけど)もでたぐらいですから、どこが次に逝ってもおかしくない状況です。


 そもそも総合誌の定義というのもよくわからない所があるのですが、そちらに話を持っていくととても2,000字で話が終わりそうもないので、ともかく本題へ。


 さて、SIGHTの話です。SIGHTは株式会社ロッキング・オンが発行する総合誌です。ちょうど私が大学生の頃に創刊されました。その時は、あのROCKIN'ONがどんな総合誌を出すのか、これでもハードロック、へビィメタル大好き青年だった私は興味津々で大学の書店を発売日に覗きにいったのを覚えています。


 それまでの総合誌にはなかった版型、表紙は確か小泉純一郎田中秀征が白い背景を背に立っているだけというシンプルなものだったと記憶しています(だいぶ昔の話なので記憶違いだったらすみません)。同社の雑誌ロッキング・オンのテイストをうまく活用して作ったなあと感じました。さすが渋谷陽一さんと感心したのですが、その後次号以降をなぜか続けて読んだ記憶がありません。発行部数が少なかったのか、あまり書店で見かけなかったことも影響しているのかもしれませんが、あらためて考えてみると、創刊号の内容がどういったものだったのかもあまり思い出せません。写真の撮り方がカッコよくてファッション誌みたいだなとの印象を受けた覚えがあるだけです。


 その後、10年近く経って久しぶりに偶然書店で目にしたSIGHTは「創」と「世界」の間に縦置きに陳列される総合誌へと変貌を遂げていました。内容はというと紙面の多くは政治家や文化人、学者へのインタヴューや対談で構成され、コラムは最小限、論文の寄稿はほとんどなしという総合誌としては珍しい構成をとっています。当初からこういう構成をとっていたのかは思い出せませんが、一つ一つのインタビューは比較的長く、じっくり論者の主張を読みたいという人には、お薦めです。


 ただ、問題なのは今の総合誌の世界では売れ筋とはいえないリベラルを機軸に据えていることですかね。リベラルな論者を揃えるのが悪いというわけではありませんが、セールスを考えていれば媚中政治家に怒りの一撃をとか自虐史観を子どもに押し付ける教師を許すなとか書ける論者を揃えたほうが間違いなくウケるはずです(最も最近はそういうノリの総合誌も売れなくなってきているという説もありますが)。そういう意味でいうとこれは渋谷さんは、一定の信念を持ってリベラルな論者に表現の場を提供するためにこの総合誌を発行し続けているのだなということがわかります。


 そうであるならばこれはロックだなあ。総合誌冬の時代なんとか乗り切って欲しいものです。


 追伸:SIGHT VOL.38号に掲載された小説家の池上永一さんへの長編インタヴューは必見です。抱腹絶倒まちがいなしです。


 追伸2:表紙のセンスはどうしてこうなってしまったんでしょうか、もっとロックな感じに素直にしてもいいと思うのですが、でも、今の路線もある意味ロックなのかな。他にはないセンスを貫いているという意味で。

SIGHT (サイト) 2009年 02月号 [雑誌]

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