近現代史

昭和期地方政治家研究―静岡県政史断章

静岡県を地盤に活躍した6人の政治家たちの列伝。彼らの歩みを丹念に辿り論じることで、昭和期の静岡県政の通史を描く。静岡県に限った話ではないが政治的なつながりが、長い年月の積み重ねの中にあるのものであり、それが政治を動かす一つの原動力となってい…

田中清玄自伝

やはり怪しい。何者かよくわからない。いわゆるフィクサーの自伝。何百人という人名が結構脈絡もなく出てくるので一定以上現代史の知識がない人が読むと面食らうかもしれない。ここまで大物(?)ではないけどほんの少し昔までは、こういう怪人物が大勢社会…

50年前の憲法大論争

昭和31年3月16日、衆議院内閣委員会公聴会で政治学者や社会学者の公述人3人に対して与野党の八人の議員が議論を挑んだ記録を発掘したもの。国会の議事録には時々このような貴重な論戦の記録がある。本書を読むと憲法をめぐる論点は、すでに50年前にあらかた…

昭和史入門

当事者への聞き書きを中心に昭和史を描いてきたノンフィクション作家が昭和を考えるうえでのアプローチの仕方や昭和への思いをつづった一冊。表題には入門とあるが、単純な昭和史への入り口の書というよりは、筆者の昭和という時代への関心、視点の持ち方が…

昭和の名将と愚将 (文春新書 618)

おそらくお二人の好みでどの軍人を取り上げるのか決めたのか、結果的に有名、それほど知名度の無い軍事まで多様な人物が紹介され評されている。人物の側面から日本の近現代史を考えてみた人には手軽でお薦め。対談形式のためすらすらと読める。ただし、これ…

昭和史の論点

今は亡き月刊誌『諸君』に掲載された討論会に若干の加筆修正をおこなって出版したもの。ワシントン体制の確立から敗戦、戦後保障、戦争責任まで幅広く論じている。これだけを読んで日本の近現代史を理解することはもちろん無理だが、複数の論者の視点を知る…

山口組概論―最強組織はなぜ成立したのか (ちくま新書)

日本のアウトロー取材の先駆的ジャーナリストとして知られる筆者による山口組論。本書一冊で山口組の発祥から近年の動向まで概観することができる。第3者が書いた山口組の通史といってもいいと思う。本書の最後で筆者は、ある意味社会的に追い詰められた者の…

ヤクザと日本―近代の無頼 (ちくま新書 702)

近世から現在に至るまでのヤクザの歴史をその思想性にまで迫り振り返った一冊。テーマを聞くとともすれば、実話系雑誌のような内容を想像してしまうかもしれないが、きわめて冷静な筆致と該博な教養に基づいて書かれたヤクザ史。こうした書籍は、本格的な内…

忘年会

ありそうでなかった忘年会の起源と歴史、そして世界への広がりを概説した一冊。世界史の中での位置づけを探るというフレーズにはちょっと笑ってしまった。忘年会までに読んでおくと宴席での薀蓄に使えるかもしれない。忘年会 (文春新書)作者: 園田英弘出版社…

陛下の御質問―昭和天皇と戦後政治

文庫の帯のあおりには「なぜ今、皇室は言葉を失ったのか−」とかなり重たいことが書いてあるのだが、私は、もう少し軽い気持ちで本書を手に取り、昭和天皇のツッコミ力について書いた本との認識で読んだ。昭和天皇の「人間性」。寸鉄釘を刺すような厳しい面、…

大政翼賛会に抗した40人―自民党源流の代議士たち

戦前、いわゆる革新の側が議会政治を解体を声高に叫び(まあ、彼らの潜在的理念からいえば、あたりまえといえばあたりまえなんですが)保守の側に議会政治の解体に抗した政治家たちが多くいたことは、不思議とあまり知られていない。それは、結局のところ彼…

城下の人―石光真清の手記 1 2007年10月21日 23:44

ずいぶん前に一度読んだ本で、なぜかふと懐かしくなり書棚から引き出してあらためて読んだ。 慶応四年、明治維新の年に、まだ、武家社会が色濃く残る肥後で生まれた石光真清が軍人となりシベリアや満州で諜報活動に携わる。後に志し破れ隠遁する彼の半生を全…

昭和の代議士 2007年04月21日 00:50

敗戦や公職追放を経て一旦寸断されながらも、しぶとく生き残った昭和の政党政治家を保守系の代議士の動きを中心にまとめたもの。保守政党の視点から昭和前期の政党政治を一通り俯瞰するには、類書と比べても新書としては充実した内容だと思います。 最近あら…

満州と自民党 2006年05月23日 23:58

本書では、戦後日本の各界で満州人脈が多方面に渡って活躍したことが紹介される。経済安定本部に満鉄調査部出身者が少なからず在籍し枢要なポストを占めたことなど興味深いエピソードに触れられている。索引はないが、満州国の運営に携わった人々についてそ…

戦争の日本近現代史―東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで 2006年03月22日 01:19

政治家や国民の認識の変遷を時代を追ってみながら「為政者や国民がどのような論理で戦争を受けとめていったか」について考えた意欲作。第1講「戦争」を学ぶ意味は何かは秀逸。戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)作者: 加藤陽子出版社/メーカー: 講談社発売…

昭和史の決定的瞬間 2006年01月22日 00:46

現在、歴史を語るときに多くの人は、2つの潮流の影響を受けているのではないか。一つは、新しい歴史教科書を創る会のように過剰な戦前の日本国への思い入れをもって歴史を語る立場。もう一つは、国家を感じさせる価値に対して徹底して懐疑の精神を持って歴史…

戦時議会 2006年01月16日 21:50

先の大戦中、議会はどんな役割を果たしたか。一般には、戦時中は議会はなかったのではという誤解すらある。そんな戦時下の議会の実態が研究されている。 大学卒業後ずいぶんたってからこういう本が出ていることを知ったときは、ちょっと悔しかった(こういう…