新書

愛国者は信用できるか

ありとあらゆる社会問題、事象を「愛国心」という言葉で解決することができるという人々に対する違和感の意味を古今の愛国者や愛国心を論じた論者を紹介しながら、見事に解きほぐした名著。愛国心などということは、声高に叫ぶことではなく自分の胸の中で思…

政治家失格―なぜ日本の政治はダメなのか (文春新書)

大家清二のペンネームで1995年に私の人生を変えた書『経世会死闘の七十日 』講談社を書いた著者の体験的政治家論。テレビで観る時の筆者のコメントには、正直なところ素直に首をふれないときもあるのですが、やはり腰を落ち着けて思考をまとめて書いた本は相…

参議院なんかいらない

失礼かもしれないが、本書は少し悪人の話のほうが善人の話しよりははるかに面白いという典型ですね。いわくつきの元参議院議員が集まっての討論会、第一弾。隠し砦の三悪人じゃないですが、単なる対談ではなく、悪漢が三人集まって鼎談になれば最強(?)と…

ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門

日本ナショナリズムの起源を10冊の文献を読み解き紹介する形でさぐった名著。石光真清『城下の人』から本宮ひろ志『男一匹ガキ大将』、小沢一郎『日本改造計画』まで多様な文献が取り上げられる。日本人とは何か、愛国心とは何か、そして日本のナショナリズ…

政党が操る選挙報道

2005年の小泉郵政選挙の後に何冊か出版された政党のメディア戦略、コミュニケーション戦略について政党がメディア(特にテレビメディア)を積極的に活用するようになった経緯を歴史をたどりながら概観した書。自民党の広報PRチーム「チーム世耕」の評価は…

灼熱のエスクード3 I WILL CATCH U (富士見ファンタジア文庫)

いよいよ物語はクライマックスへと進んでいく。ヒロインの過去がついにあきらかに!!というような回。主人公は、時に折れそうになる心を奮い立たせ、仲間の協力を得ながらついに最後の戦いに挑もうとしている。次回が最終巻かな?灼熱のエスクード3 I WILL …

新書マップ~知の窓口~

無料の新書のデータベース化、検索に特化したウェブサイト新書マップを書籍化したもの。7,000冊を超える新書のデータ(概要)が、32個の分野と1003のテーマ分類、紹介されています。取り扱っている新書レーベルは、2003年までに発刊された38種類。もちろんテ…

日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか

日本の選挙に関する通説、俗説の類を一蹴し各級の選挙によってすべて選挙制度が違う「選挙制度のデパート」状態となっている日本の無原則な選挙制度を解説し、その改善を提案した名著。212ページと中公新書としてはコンパクトな書ですが、選挙制度の背景ある…

反西洋思想

オクシデンタリズム、「敵」によって描かれる描かれる非人間的な西洋像、「殺人的な憎悪」という聞きなれない言葉を使って世界の各地にある反西洋思想ともいえる筆者たちのいうところの「偏見」の数々に検討を加え、その歴史的ルーツをたどったユニークな書…

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる

アメリカによる『年次改革要望書』を取り上げたある意味、大変面白く意義深い新書。ただ、この種の論は一つ間違うと、ある特定の事由が社会を動かしているとする陰謀論に陥ってしまう可能性があり、読み方に気をつけなければいけない書物といえる。拒否でき…

忘れられない国会論戦―再軍備から公害問題まで

官僚に作ってもらった質問の朗読、同じく原稿の棒読みによる答弁、ばかりがおこなわれ論戦とよべるものはほどんとおこなわれてこなかったと考えられて来た戦後の国会において、真の論戦と呼ぶにふさわしい激しいやり取りが交わされていた。その記録を戦後の…

●新書レーベル目録

No レーベル名 創刊年 発刊数 ほぼ読書人のコメント 1 岩波新書 1938 3760 中公新書、講談社現代新書とともに教養新書御三家とよばれた、岩波文化の象徴であるといえる日本最初の新書レーベル。岩波書店を象徴する出版物。執筆者の基本的な思潮は、かっての…

※本稿での「新書」の定義は以下の通り。

「wikipedeis」http://ja.wikipedia.org/wiki/%e6%96%b0%e6%9b%b8(2009/5/9アクセス) 新書(しんしょ)とは、新書判(173×105mm、およびそれに近い判型)の叢書・本である。漫画文庫が「文庫」であるのに対し、単に「新書」といった場合、新書判コミックス…

新書レーベル目録・リスト

ありとあらゆる新書を取り上げて批評した宮崎哲弥(2006)『新書365冊』朝日新聞社(朝日新書)にも新書のレーベルの目録はなかったと記憶しています(記憶違いであったら申し訳ありません)。出版社やレーベルにはついて注目したもの本ではないのでこれは仕方…

NPO入門 (日経文庫)

俗な話からレビューをはじめて恐縮だが、実は、NPOの基礎的な概念や仕組み、事例を学べる概説書は本書の他にも多数出版されている。しかし、「NPO入門」をタイトルにうたった本は、長らく本書だけしかなかった(現在は、私の知る限り後2冊NPO入門と…

村が消えた―平成大合併とは何だったのか

平成の大合併とはなんだったのかを豊富な現地取材で得た事例を紹介しながら考える一冊。地方分権改革のキーマンだった野中広務や梶原拓へのインタビューも掲載されており貴重な資料となっている。 また、巻末に後藤田正晴氏のインタビューが掲載されている。…

人ったらし (文春新書 597)

亀和田武さんのことは、この本を読んで初めて知りました。テレビにはよく出ている方らしいのですが、私の家にはテレビはなく、まったく知りませんでした。失礼しました。ただ、それゆえに先入観なく読むことができてかえって楽しめた気がします。 さて、本書…

自民党で選挙と議員をやりました (角川SSC新書 17)

彼は政治家ではないな。 たまたま蔵書の新書を整理していて目に付いた本書を久しぶりに再読して、以前、一度読んだ際にもそう感じたことを思い出した。映画『選挙』では、観る事ができなかった彼が政治の舞台でやりたかったことが書いてあるのではと期待して…

総理の辞め方 (PHP新書 535)

著者は、大島理森自民党国会対策委員長(元官房副長官)の秘書出身の学者。最近は、時折、筆者のような秘書出身の学者という人がいて驚かされる。政治家の秘書という職業を色眼鏡で見ているわけではないのだけれども、どうしても票田を耕すのが仕事とのイメ…

知らなかった! 驚いた! 日本全国「県境」の謎 (じっぴコンパクト)

この本を読んだからといって仕事がうまくいったり恋人ができたり、お金が儲かったりすることはありませんが、ちょっとだけ雑学に詳しい人気者(?)になれるかもしれません。多数のメディアで取り上げられたこともあって、私の持っている版で初版第8刷、発売…

自由と民主主義をもうやめる (幻冬舎新書)

講演会で話した内容を基にして文章をおこしているので、少し説明が荒く感じるところもあるが、保守とは何かということについて簡便に理解を深めるには最適の書。 冷戦期のように左翼陣営と保守陣営の対立軸が社会主義か自由な資本主義化と単純な2項対立で理…

論戦力 (祥伝社新書157) (祥伝社新書 157) 2009年04月21日 23:20

本書は、引退した政治家が、自らが挑んだものも含め国会で見聞した30年余りの国会論戦についての豊富な経験や記憶を出し惜しみせずに書き記した貴重な本である。筆者は、「論戦力」、政治家にとってもっとも重要な意味を持つ‘言葉の力’について常に真摯に悩…

民主党のアメリカ共和党のアメリカ (日経プレミアシリーズ 15) 2009年04月19日 20:09

日本の出版会はアメリカと名のつく本がよほど好きなようだ。例えばAmazonの和書検索で「アメリカ」と検索すると22,906件との検索結果が出る。社会・政治のカテゴリーだけに限っても7118件、また「米国」と付く書籍が2,588件、この検索はおそらく本のタイトル…

ヒラリーをさがせ! (文春新書 617) 2009年04月16日 19:04

根本的に視点が違う。これは、斬新だ。誰とは言わないが、テレビによく出演している政治評論家の爺様たちは筆者に席を譲ったほうがいい。破壊力が違う(ただし私が見た限りでは筆者は、時折テレビ見かける際には、文書を書いた際の切れ味がなぜかなく大人し…

高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711) 2009年04月14日 23:38

スポーツには、中学のとき部活でやった卓球は例外としてまったく縁がないと思い込んでいた私ですが、よーく考え見ると小学校の頃、野球のチームに入っていたことを思い出しました。入ったというよりは、先輩に無理やり入れられたという感じでしたけど。今思…

新書365冊 2009年04月12日 23:07

おそれいったとしかいえない。正直な気持ちだ。 筆者は40歳代の評論家の中では抜きん出たゼネラル知識の持ち主だとTV等で見るだびに感じていた。情報収集、知識の習得には色々な方法があると思うが、読書だけに限っても相当な量を読みこなしているのだろう…

ロシアはどこに行くのか─タンデム型デモクラシーの限界 (講談社現代新書) 2009年04月09日 18:59

ペレストロイカ後の10数年にもわたる社会的混乱(アナーキーな状態)の果てにロシア国民が選んだのは新自由主義による市場主義でも共産主義への回帰でもなく、ツァーリ(皇帝)による統治だった。全盛期のロシア帝国あるいはソビエト連邦のように強いロシア…

自民党はなぜ潰れないのか―激動する政治の読み方 (幻冬舎新書 む 1-2) 2007年12月07日 23:59

いわくつきの元参議院議員たち3人の対談集第2弾。亀井静香も一部対談に参戦していて豪華な(?)一冊に仕上がっています。まあ、悪行も含めて、経験豊富なおっちゃんたちのぶっちゃけトーク集なんですか、そんだけ言うならお前ら現役の時に何とか世の中よく…

歴代知事三〇〇人 日本全国「現代の殿さま」列伝 2007年09月26日 23:52

自分の関心のある県の知事のみ読んでも興味深く、深い考察がおこなわれているわけではないのですが、気軽に読みたいところだけ読んで、秋の夜長の暇つぶしに使えるのではないでしょうか。 かつては、国からの補助金等の市町村への分配役としての機能を期待さ…

史実を歩く 2007年05月24日 23:58

著者の作品に関連するエッセイをまとめたもの。4度脱獄した男にまつわる小説「破獄」の事前取材についてのエピソードなど興味を惹かれる出来事が多く取り上げられています。1〜2時間程度あれば、さらっと読んでしまえますが、さまざまなエピソードが盛り込…